2014年 06月 01日

<Episode #37> ショートバイトと初夏のアンバランス

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日が昇ると、気温はみるみると30度近くまで上がり、僕は久しぶりに汗ばむ暑さをフィールドで感じた。
ウェーディングしながら、スイングするフライに神経を研ぎ澄ませる感覚が心地よいとさえ感じる。
そんな流れのあるフィールドに足を運ぶのは、道南の本流以来だろうか。
行き先にずいぶんと迷った挙句、週末は友人達とオホーツクの地を流れる本流に足を運ぶことにした。
ウェーダー越しに感じる本流の冷たさと日差しの強さのアンバランスさ、いかにもこの時期らしいと感じる週末だった。


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岸際や浅瀬には上流から流されてきた大きな大木がいくつも横たわっていた。
オホーツクの空はさながらライトブルー、フィールドに吹く風には春ゼミの鳴き声がかすかに混ざりながらも、心地よさが伴っていた。
ゆっくりと蛇行しながら流れていく、どこか十勝のフィールドとシンクロしてしまいそうなオホーツクの本流。
雪代が混じってほんのりとモスグリーンに染まった流れを、友人達と少し距離を置きながら、ゆっくりとステップダウンする。


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対岸にまでフライが届いてしまわないように、シュルシュルと伸びていくランニングラインを指先でサミングする。
それでも何個かのフライを対岸から張り出した木の枝に引っ掛けてしまって、つい溜め息がこぼれてしまった。
フローティングのスカジットコンパクトと15フィートのT11のティップに引かれて流れをスイングするフライ。
指先でホールドしたランニングライン越しに僕が感じた、ゴン、ゴンというショートバイトの生命感はたったの2回だけ。
でも、そんなことよりもまるで初夏のような眩しい日差しを浴びながら、
薄っすらと雪代の混じった冷たい本流でキャストしながら一日を過ごせたことが心地良かったかな。
ちなみにウェーダーはネオプレーンから夏仕様へ。
                                                     51.19→51.15


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# by slowfishing-yun | 2014-06-01 22:38 | Fishing Reports | Comments(8)
2014年 05月 25日

<Episode #36> 春の朱鞠内湖MAXとラインバスケット

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道路脇から不意にいつ飛び出してくるか分からないエゾジカの群れ。
車が来ないことをいいことに、街路灯のない道路の上でのんびりと寝そべっているキタキツネ。
車のライトをハイビームにして、道路やその脇のキラリと光るものにピリピリと最大限の注意を払いつつ、
僕の車は朱鞠内湖に向けて深夜のR275をゆっくりと北上する。
多度志から朱鞠内まで、結局対向車とは一度もすれ違わなかっただろうか。
東の空が少しずつ白々と明るくなり始めると、ついつい朝4時の出船時間のことが気になってしまう。
早朝の朱鞠内湖、フィールドに吹く風はまだ穏やかだった。


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慌しい出発の準備で少し余裕がなかったのかもしれないけれど、R275を北上する車のハンドルを握りながら、
ふと何気なく少しモディファイした愛用のOrvis社製のラインバスケットを自宅のガレージに置き忘れてきたことを思い出した。
確か天気予報ではお昼前から風が強まったはず。
悔やんでも仕方がないけれど、シュート時にランニングラインのトラブルが増えるのは覚悟しないといけない。
本流ではバスケットは使わない派だけれど、湖などの止水のフィールドでは、僕はもっぱらバスケット派だろうか。
好みは分かれるだろうけれど、やはりバスケット使った方がシュート時にランニングラインが絡まるトラブルは少ないように思う。
それに水の抵抗も減って、僕のキャストでも飛距離は少しぐらいアップするから。
ちなみに、お昼寝の時のちょうど良い高さの枕にもなるラインバスケットだけれど、使用する際のデメリットもないわけではない。
僕にとってのラインバスケットを使うデメリットは、リトリーブしたランニングラインをバスケットの中に入れることを意識し過ぎて、
ストロークの長さ、それにリトリーブの速さと、メリハリが効いたリトリーブが出来なくなることだろうか。


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幸運なことに最初に訪れたイトウのバイトは、湖に船のエンジン音がまだしっかりと響いている時のことだった。
何しろ湖の向こう岸を葵島方面に向けてアングラーを乗せたボートが、少し遅れたエンジン音を響かせながら、
白く小さくゆっくりと動いていたものだから。
フライが着水後、数カウントほどしてからのリトリーブスタート。
確か2ストローク目に、ズゥンとランニングラインに鈍重な衝撃が訪れて、水面が大きく盛り上がった。


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右利きのアングラーがキャストするには好都合の左方向からの南東寄りの穏やかな風が吹き、
早朝の湖面には潮目と小波の帯が、ずっと遠くの方まで続いていた。
そんな早朝の静寂さの中、ゴボォウ、ガボォウとイトウの荒々しい豪快なヘッドシェイクが岸際で何度も繰り返される。
バーブを潰したフックがいつ外れるんだろうかと僕はヒヤヒヤしたけれど、何とか無事にランディング。
この日僕が出合った最初のイトウはメタリックに輝く80クラスのトルクフルで豪快なパワーの持ち主だった。


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ロッドはMeiserの14フィート、7/8番、MKS。
リールは濡れると自動的(笑)にサイレント仕様になってしまうS字ハンドルをモディファイしたHardy Cascapedia MkⅡ 8/9。
ラインは3M社のAtlantic Salmon SH、9/10(590gr)、S1/S2。
このスカンジ系のSHを使ったフルシンクのラインシステムでスカジットキャストをするのだけれど、
個人的にはもう一番手重い10/11(650gr)のSHでもいいんじゃないかと思っている。
ランニングラインはタックルマックのリッジランニングライン、20lb。
リーダーは1X、12フィートのテーパーリーダー、ティペットは2.5号のフロロカーボン。


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昼前から風が徐々に強まり始め、北大島の岸辺に杭のようになって佇むアングラーは、風の存在を徐々に意識するようになる。
風向きは左前方から徐々に正面へとシフトしていき、ますますその存在感が打ち寄せる波と共に強まっていった。
風を避けるようにして2度ほど僕は湖岸で深い眠りに落ちた。
イトウの夢を見ることはなかったけれど、幸運にもお昼までに2尾のイトウに出合うことが出来た。


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ティペットの先に結んだフライは、2番と4番のストリーマーフックに巻いたシンプルなオリーブゾンカー
レギュレーションにもあるけれど、ティペットに結んだ後にフォーセップでバーブを潰す。
バーブレスにしてフックアウトすることが増えるかなと心配したたけれど、アメマスやサクラマスではやり取りの最中に外れたりして、
イトウではランディング後にいつの間にかフライが外れていたことはあったけれど、意外とフックアウトは少ないのかもしれない。

打ち寄せる波のせいか、岸際にワカサギの小さな群れを見たけれど、産卵の為の岸寄りが本格化するのはもう少し先だろうか。
早朝とイブニングはS1/S2のスカンジSHを使い、日中はS2/S3のスカンジSHを使ったけれど、
カウントダウンの時間を長く取ると、S2/S3の方はかけ上がりを通過するあたりでやはり根掛かりしやすくなるようだ。


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MAXという言葉を初めて聞いたのは、5,6年前、確か漁協の中野さんの口からだっただろうか。
かれこれ20年近く朱鞠内湖を訪れていて、さらにここ数年は渡船サービスを利用出来るようになっただけでなく、
前浜からの早朝の出船は日の出前の4時、最終の迎えは夕方の7時近くという文字通りのMAX(マックス)、
つまり朱鞠内湖での釣りが許される最大限の時間、思う存分たっぷりと楽しめるようになり、漁協の方々には本当に感謝だろうか。
もちろん、一日中曇り空で午後には雨交じり、風はますます強まる予報だったけれど、この日も何の迷いもなくMAXでお願いする。
多分に幸運なことだと思うのだけれど、迎えの船が来るまでに僕は朝から数えて計4尾のイトウに出合うことが出来た。
これまでも一日に計2尾のイトウに出合うことはあったけれど、こんなことは長年朱鞠内湖に通っていて初めてのことだろうか。
以前なら1シーズンを通しておかっぱりで1回イトウに出合えたらとてもラッキーなことだったからね。
さまざまな啓蒙活動やイトウの保護活動などなど、きっと漁協の方々の地道な努力があったからだと思うのだけれども、
着実にイトウの数は増えていっているように僕は実感したし、きっとバーブレス化も、そんなことに一役買っていくのだろう。

結局、ラインバスケットがなかったのでシュート時にランニングラインがグシャグシャの難解なパズルになることもあったけれど、
ランニングラインのハンドリングさえしっかりすれば、意外と何とかなるのかもしれない。
でも、確かに大事なものをついうっかり忘れてしまいがちの僕だけれど、次回はラインバスケットを忘れないようにしようと思う。
そんな事を、モスグリーン色の湖水へと溶け込んでいく4尾目のイトウの背中を見送りながら、僕は思ったのだった。

P.S. 次回もしもMAXにチャレンジすることがあれば、折りたたみイスか、お昼寝用のロールマットでも持参してみようかなと。


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# by slowfishing-yun | 2014-05-25 17:46 | Fishing Reports | Comments(6)
2014年 05月 22日

<Episode #35> ランニングラインのねじれ防止に

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スカジットキャストとランニングラインのねじれは、そのキャストの性質上、切っても切り離せない関係なのはご存知の通り。
以前はランニングラインのねじれを取り去るためにフィールドでロッドをクルクルと回していたように思う
RIO社からもスイベルを使ったアイテムが発売されたり、釣り雑誌などでもスイベルを用いた記事は目にしたけれど、
最初に実物を見たのは、yusukeさんにこれ使ってみて下さいよといただいた時だったかな。
正式な名称は分からないけれど、ここ数年ランニングラインのねじれ防止の為にこのアイテムを使うようになり、
ずいぶんと僕はこのアイテムの恩恵にあずかっているだろうか。
ちなみ僕が使うランニングラインはタックルマックのリッジランニングライン(20lbと30lb)。
モノフィラ系のランニングラインは使っていないので、そちらの方での恩恵については・・・?かな。
さてさて、数年もこの自作したアイテムを使っていると否が応でも熱収縮チューブは劣化してくるので、
熱収縮チューブの交換のついでに、今週はフライも巻かずにこのアイテムをたっぷりと量産してみた。
ちなみにこれだけの数を作っても、予備のストックはほとんどなしなのである(笑)。

使用しているのは、
ショップで100円/m前後の値段でメーター売りしていた強度が70か80lbぐらいのブレイデッドライン。
NTパワースイベルのサイズは7。強度は38kg。確かアメリカ屋漁具店で10個入りで150円前後。
こちらもアメリカ屋漁具店で200円ぐらいの径が1.5mmのMarufuji社の熱収縮チューブ
両端のブレイデッドループは緩まないようにスレッドでしっかりと固定、さらに瞬間接着剤を染み込ませる。

トップガイドをスイベルが通過する時にロッドとラインの角度によってはガギ、ガギっと多少の違和感はあるけれど、
大きなトラウトやサーモン、それによくある根掛かりでも、これまで一度もこのアイテムを使ってのトラブルはない。
とにかくこの自作のアイテム、僕としてはお勧めだけれども、何かしらのトラブルに関しては自己責任で・・・笑。

最後に紹介したvimeoの動画。
ちょうど01:13辺りから出てくるリールのデザインが以前から何となく気になっていて、
もしかしたら写真ではなく動画で見るのは初めてだろうか。


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# by slowfishing-yun | 2014-05-22 22:10 | Slow Fishing | Comments(2)
2014年 05月 18日

<Episode #34> WindyなLake Syumarinai

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早朝の気温は3度近くまで下がり、北海道上空を通過する等圧線がギュッと狭まった低気圧の影響で、
冷たい強風が音を立てながら湖面の上を吹き抜けていく土曜日の朱鞠内湖だった。
それと同調するかのように、背後の白樺の木立の幹が、ビュービューと風に吹かれて大きく揺れている。
風による波の影響なのか、硬い粘土質の湖底が押し寄せてくる波に洗われて、湖水がほんのりとサンドベージュに濁っていた。
風は冷たく、グローブが欠かせない土曜日の釣りとなった。


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R.B.Meiser S2H14078MKS the "Fire God" and Kineya Model 705


先週のこともあり、ロッドをMeiserのMKS、6/7番から7/8番に持ち替える。
パラパラと雨粒が帽子の上にスッポリと被ったジャケットのフードや背中に当たる音が、耳から離れることはなかった。
ジャケットが雨に濡れて重くなるにつれ、身体は少しずつ冷えていき、寝不足の僕はジワジワと疲労感を感じ始める。
これで何の前触れもなく不意に大きなイトウからのコンタクトでもあれば、
一瞬にして疲労感はどこかへと昇華していくのだろうけれども・・・。
相変わらず、右前方からの強風が湖面の上を吹き抜けていく。
いつもなら丸一日キャストを続けていてもほとんど疲労感や筋肉痛を感じることはないけれど、
右前方からの強風だけは話は別で、飛距離を出そうと無理をすると、キャストアウト時に何度かパチンとフライが僕の背中を叩く。
危ない、危ない。
レギュレーションに沿って、フォーセップでバーブを潰しておいたフックで良かったと思うことが何度かあったかな。


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突然目の前の波間にガバッと大きな波紋が広がる。もちろん僕のキャストレンジ内。
急いでその辺りにフライ(オリーブゾンカー)を泳がせてみたけれど、イトウはすでに泳ぎ去った後だった。
アトランティックサーモンSH(S1/S2)と20lbのリッジランニングラインを繋ぐヨリモドシがちょうどトップガイドを通過する直前辺りで、
グーっと掛かる負荷と共に小気味良い躍動感がロッドに伝わってくる。
朱鞠内湖らしい小顔であどけない表情のアメマス達だったけれど、後志利別川のアメマスの雰囲気にもちょっと似ていて、
冷たい雨に濡れたアングラーの気持ちをどこか優しくほぐしてくれたように思う。
どうやら今シーズンはアメマスの数が多い予想


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# by slowfishing-yun | 2014-05-18 15:52 | Fishing Reports | Comments(4)
2014年 05月 14日

<Episode #33> シンプルなオリーブゾンカー

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ダブルハンドロッドを使ったスカジットキャストを楽しむようになって、
イントルーダーにチューブフライと最近はさまざまなパターンのフライを巻くようになったけれど、
かれこれ20年近くフライフィッシングというものを楽しみながら、
僕がタイイングバイスの前に座って一番たくさんの数を巻いたフライはというと、
OSPやビーズヘッド仕様の黒のウーリーではなく、おそらくとてもシンプルなオリーブゾンカーなのだと思う。
きっと一番少ないのがエルクヘアカディスなどのドライフライじゃないだろうか。ミッジなんて一度も巻いたことがないし・・・笑。

先週末の朱鞠内湖では、プラスチック製のフライボックスに時間を見つけてはせっせと巻きためておいたオリーブゾンカーを、
水面下に点在する切り株に根掛かりさせてたっぷりとロストしたから、今週は少しオリーブゾンカーを補充しておかないと・・・。

朱鞠内湖でもっぱらルアーフィッシングを楽しんできた僕がフライフィッシングを始めるきっかけになったのは、
ランドロック、つまり陸封型の銀鱗眩いサクラマスにフライフィッシングで出合ってみたいというのが、そもそものきっかけだった。
そんな僕が最初にフライフィッシングで朱鞠内湖のサクラマスに出合った時のティペットの先に結ばれていたのも、
今よりもさらにシンプルなスタイルのオリーブゾンカーだったから、僕にとっては思い出深いフライのひとつなのだろう。

フライをリトリーブした時のゾンカーストリップのファイバーの細かな動きというか揺らぎが魅力的で、
きっとあのファイバーの生み出す波動が、きっとお腹を空かしたトラウトの好奇心を誘うのではないかと思っている。

何の変哲もないシンプルなオリーブゾンカーだけれど、僕にとっては湖での釣りで最も信頼するフライのひとつだろうか。


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# by slowfishing-yun | 2014-05-14 21:16 | 私的FlyTyingの愉しみ | Comments(4)