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2014年 10月 06日

<Episode #64> アミーゴの予感

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アミーゴとは、本来はスペイン語で「友達」の意味の男性形名詞(amigo)。  ウィキペディアより

目の前には水深のある、トルクがあって速い流れの十勝川としては比較的緩い流れのプールが広がっていた。
対岸めがけてアトランティックサーモンSHのS2/S3をややダウンクロス気味にペリーポークでキャストする。
一直線に伸びたアトランティックサーモンSHが着水し、やや遅れてそのさらに先に小さな水飛沫と共にフライが着水した。
ラインが目の前の流れに馴染んだ頃合を目計らって、一度だけランニングラインを整える目的で大きく上流へとメンディングする。
その瞬間、グゥンとまるで水中の大きなストラクチャーにでも根掛かりした時のような衝撃がロッドに伝わり、
ロッドにセットしたST.Johnからジ、ジーーと硬質な逆回転音が鳴り響いた。
また、それはいつもの根掛かりとはちょっと違う違和感を伴うものだった。
不思議な違和感を伴いながらも、相変わらず僕が手にしたMeiserの14フィート、6/7番、MKSはグンニャリとバットから曲がったまま。
そして一直線に伸びたラインとは少し違ったところから、ドッバーンという水飛沫と共にメチャメチャ体高のある大きなレインボーが、
まるでイルカのような横っ飛びのジャンプを水面1m程の高さで見せてくれた。
その瞬間、レインボーの顎からティペットの先に結ばれたコーンヘッド仕様のESLがポロっと外れるのが僕の目にもしっかりと映る。
十勝川での僕にとってはトロフィーサイズサイズのレインボーとのランデブーはおよそ5秒ほどだっただろうか。
それにしても思わず「デカイ」と心の中で呟きたくなる見事なプロポーションのLLサイズオーバーの本流レインボーだったのに・・・。
でも、そのシルエットだけは今でのありありと僕の中に残像として残っている。


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それは十勝川の照りつける日差しが眩しい日曜日のお昼のアミーゴ・ポイントでの出来事だった。
アミーゴとは、スペイン語で友人の意味だそうだが、このポイントでは友人達が何度か大きな本流レインボーにフックアウトされているから、
フックアウトされた者同士という親愛の気持ちこめて、その気持ち痛いほど分かるよ、アミーゴ!とでもいうか・・・笑。
確かにフックアウト・ポイントでも名称は悪くはないけれど、やっぱりアミーゴ・ポイントの方が僕にはしっくりとくるかな。


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日曜日の朝は、本格的な秋のトラウトシーズン到来をしっかりと感じさせてくれるような朝だった。
朝露に濡れたどこか湿りっ気のあるひんやりとした空気感がフィールド全体を気持ちよく包み込んでいた。
早朝の太陽が地平線から顔を出し始めた時には、7月にグッドサイズのレインボーにフックアウトされた長いランのポイントに立っていた。
ゆっくりと核心ポイントに向けて長いランをキャストを繰り返しながらステップダウンする。
いよいよ核心ポイントに近づいた時、スイングを終えようとしたフライが岸際のストラクチャー近くでグッという強い引き込みと共に止まった。
ロッドから伝わる重量感からおおよそLサイズといったところだろうか。
レインボーは一度もジャンプすることはなかったけれど、そのパワフルなスピード感はなかなかのものだった。
朝霧に包まれた早朝のフィールドにST.Johnのスクリーミングサウンドが美しく反響する。
でも何となく嫌な予感が付きまとっていた。
レインボーの疾走が止まり、ラインを軽く指でホールドしながらロッドのバットにさらに力が加わった時、フッとラインが軽くなった。
もしかしたらフックアウトするんじゃないかという僕の予感は見事に的中。
まさしくこれがこの日のアミーゴの予感の始まりの合図だったのかもしれない。


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この日のプランはスカジットコンパクトではなく、フルシンクのアトランティックサーモンSHを使い続けることが僕の中でのテーマだった。
フライはVARIVASの#4番のストリーマーフックに巻いたコーンヘッド仕様のゾンカーパターンのエッグサッキングリーチがメイン。
最初はS3/S4を使ったけれど、岸際での根掛かりが多いので、途中からはS2/S3をメインに使い続ける。
結局この日は4度のテイクがあり、僕にとってのトロフィーサイズも含めて3度もフックアウト。
まさしくアミーゴの秋の一日となっただろうか。
早朝に感じたアミーゴの予感はあながち間違ってはいなかったけれど、あんなサイズのレインボーがここ十勝川にはいるんだと思うと、
思わずニヤッと含み笑いしてしまいそうな気持ちのよい秋の一日だったような気がする。
                                                       59.91→59.87

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Today's BGM :



by slowfishing-yun | 2014-10-06 22:46 | Fishing Reports | Comments(12)
Commented by abu-z4 at 2014-10-07 13:30
こんにちは、Yunさん。
僕はアミーゴポイントではありませんが、もうかれこれ5年ほど前でしょうか、悔しくもあり嬉しくもある思わず苦笑いをしてしまうようなレインボーとの出会いが記憶に鮮明に残っています。
それにしてもどうして十勝川のレインボーは、あんなにも強烈なジャンプとパワーで僕たちを翻弄するのでしょうか。
十勝川では、少ないチャンスをものにすることが本当に難しいと感じます。
でも、いつかは間近でその姿を目に焼き付けたいものですね。
Commented by andieloop at 2014-10-07 19:51
Yunさん、こんばんは!
当日は色々お話できて楽しかったです。今度はアミーゴポイントから下流へも歩いて行ってみたいと思います。
あのポイントでは、斜め下流に向けて結構なロングキャストをされているのでしょうか(岸際に届くくらい)?
私は稚拙なキャスト技術と更に苦手な右岸ということもあって、流れの中心付近しか"釣れる"状態で流すことはできませんでした。
また、初めてMeiserのロッドを持たせていただきましたが、自分のTFOと同じ#6/7とは思えないトルクとパワーを感じました。今はYunさんのマネで540grのヘッドを使っていますが、自分のロッドには、もう少し軽いものが適正なのかもと思いました。
来週も北か東の本流で、良い魚との出会いがあるといいですね!私やtoritoriさんと違い、不運を呪ったりせずにサラリと結果を受け入れることのできるYunさんには、幸運の女神が微笑んでくれると思います(笑)。
Commented by slowfishing-yun at 2014-10-07 21:11
ABUさん、こんばんは。
確かあの時、私は少し上流にいたのですが、トロフィーサイズのレインボーにジャンプされたんでしたよね。
残念ながらそのシーンを見ることは出来ませんでしたが、ABUさんの興奮した口ぶりが今でも思い出されます。
今回の大きなレインボーのジャンプは今でもスローモーションで脳裏に焼きついていますが、
きっといつまでも忘れられないような気がします。
少ないチャンスにランディング出来なかったのは残念ですが、これはこれでいい思い出になりました(笑)。
Commented by slowfishing-yun at 2014-10-07 21:24
andieloopさん、こんばんは。
こちらこそ、コーヒーまでご馳走してくださり、ありがとうございました。
フィールドでandieloopさんに淹れていただいたイタリアンローストの味は格別でしたね(笑)。
アミーゴポイントでは少しウェーディングしているので、おそらく対岸近くまでフライは届いていると思います。
あの時は540grのスカジットコンパクトではなく、590grのアトランティックサーモンSHを使っていました。
おそらくあのロッドはNZ製のブランクではなく日本製のブランクだと思います。
バットがよく曲がって結構トルクがあるので、最初は480grを使っていましたが、今では540grのスカジットコンパクトにしているんですよ。
TFOは振ったことがないのでよく分からないのですが、軽めの方がストレスが少ないのかもしれませんね。
アミーゴポイントではtoritoriさんだけでなくaichanさんも特大サイズにアミーゴのようです。
いつかあのポイントでandieloopさんには幸運の女神が微笑んでくれるといいですね。
Commented at 2014-10-07 21:27 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by slowfishing-yun at 2014-10-07 21:50
鍵コメのhideさん、こんばんは。
こちらこそ、ご無沙汰しておりました。お元気そうで何よりです。
アドバイス、ありがとうございました。フライのカラーは今後の参考にさせていただきますね。
きっとhideさんはアミーゴではないのでしょう(笑)。
十勝川で70アップとは・・・。なかなか想像できませんが、きっと凄いパワーなのでしょうね。
いつかまたフィールドでお会い出来るのを楽しみにしております。
Commented by maximizer828 at 2014-10-07 23:00
yunさん、こんばんは。
日曜日はお疲れ様でした。
ご一緒させていただいたうえに、勉強になるお話しも聞け、釣れなくても楽しく充実した一日でした。ありがとうございました。
そして短い時間でしたが、十勝でyunさんのお友達とお話しできたことも楽しい思い出になりました。
それにしても、60クラス惜しかったですね!
何時か、その魚をキャッチできたら、是非、僕にも見せてください!
3週連続でバラシてばかりの僕には、少し刺激が強すぎるかもしれませんが(笑)
また機会があれば、是非、ご一緒させてください。
PS:十勝のハエは未だ僕の車に生息しています(笑)
Commented by slowfishing-yun at 2014-10-08 00:16
maximizer828さん、こんばんは。
こちらこそ、日曜日はお疲れ様でした。ご一緒させていただき、ありがとうございます。
あらら、まだハエさんは車の中に生息されていますか。
私も湧別のハエさんと車の中でしばらくの間、ご一緒したことがありました(笑)。
アングラーにとって逃げられた魚は少し大きく見えてしまうものかもしれません。
あのレインボーはもしかしたら70クラスだったかもと・・・笑。
maximizer828さんももちろんアミーゴですよ。なにしろ3週連続バラしたという話ですからね(笑)。
こんな苦い経験の積み重ねが、いつか実を結ぶ日が来ると思いますよ。
Commented by やすこう at 2014-10-09 19:28 x
Yunさん、こんばんわ
先週末は、いろいろと情報提供ありがとうございました。日曜日に十勝に行かれたんですね・・・・ご一緒したかったのですが、同僚と一緒で、宿との関係があって・・・・
先週の木曜日から連続して7泊8日の出張からいましがた帰ってきたところです・・・・
土曜日は、天塩と湖がダメでしたが、渓流ではとても楽しい釣りができました。肝心の本流と湖のダブルハンドは技術もポイント把握もまだまだです。
また、ご一緒させていただく日を心待ちにしています。
ありがとうございました。
Commented by slowfishing-yun at 2014-10-09 21:29
やすこうさん、こんばんは。
長い出張、お疲れ様でした。先週末は是非ご一緒したかったのですが、
降雨の影響で天塩川のコンディションが良くなく、日曜日に十勝川へと足を運んでいました。
楽しみにされていた北の本流の方は、どうやらタイミングが悪かったようですね。
でも、渓流ではしっかりと楽しまれたようで何よりです。
晩秋から初冬の十勝のアメマスも、なかなか風情といいますか趣があって楽しいですよ(笑)。
Commented by mr.hoo at 2014-10-10 17:14 x
yunさん お久しぶりです。私は川全体がアミーゴポイントでございます(爆笑)
私だけかもしれませんが北の大河がサッパリでして(そろそろ気になりますが)…こちらばかりで遊ばせて頂いてました。ps itokenさんにささやかな贈り物を渡してますのでお受け取り下さい(笑)
Commented by slowfishing-yun at 2014-10-10 22:53
mr.hooさん、こんばんは。
私の場合は湖も本流もアミーゴポイントだったりします(笑)。
北の本流はなかなかタイミングが難しいようですね。
110-kenさんからは、mr.hooさんと素敵なレインボーとの出合いのお話は聞いておりますよ。
ささやかな贈り物、さていったい何なのでしょうか。とても気になるところだったりします・・・笑。


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