2014年 01月 05日

<Episode #2> Whiteout

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夜空に冬の星座がギラギラといっそう明るく瞬いていた。きっと今日という一日は、まったくもって冬らしい寒い一日になるのだろう。
道南へと続くハイウェイを降りて小さな峠を越えると、海からの風がビュービューと音を立てながら、めっぽう強まり始めた。
一瞬視界が雪で真っ白になり、車のハンドルを握りながらも、方向感覚がいささか曖昧なものとなる。
無事にフィールドに着いた時には、僕の車は雪だるまほどではないけれど、すっかり雪の塊のようになっていた。


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2014年の最初のフィールドは十勝川とも迷ったたけれど、いつものように道南の小さな漁港に足を運ぶことにした。
向かい風が強くて、おまけに気温は-3℃前後。今年最初の釣りを共にする友人達と車の中で、さてどうしましょうかと
お互いの顔を見合わせながら、いつ着替えのために車から出るのか、そのタイミングを見計らう。
もちろんここまで来たのだから、いつかは指先が寒さで痛くなり始めるを感じながらウェーダーに着替えたり、
タックルを準備するのだけれども、なかなかその決心がつかないのも、ある意味冬らしい釣りといえば釣りなのだが・・・。
ただ、後ろに止めてあった車のアングラーの方が、30分以上誰のロッドも曲がっていないと言っていたのが、
ちょっと気がかりだった。


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凍える指先でジョイント部分にテーピングを施したのは、マイザーの14フィート、#7/8番、MKS、the "Fire God"
リールはHardyのMLA375。ちなみにHardyのモダンなデザインのリールの中で、僕が許容出来るデザインはここまで(笑)。
ラインはアトランティックサーモンSH、10/11番(650gr)、S1/S2。


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ブルーが少し混ざったようなグリーン色をした海の色。
雲のすき間からほんの少し太陽の日差しが差し込んだかと思うと、また次の鉛色をした濃淡のないベタッとした大きな雪雲が
こちらの方へと急ぎ足で向かってくる。
ちょうど斜め向かいから吹きつける風の息遣いは、結構荒々しい。
漁港の中にある船揚げ用に造られたふたつの斜路を少しずつ移動を繰り返しながら、
僕は何度も行ったり来たりしただろうか。


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ペリーポークからのキャストの回数が増えるにつれて、いつの間にかウィンドノットがいくつも出来上がっているものだから、
凍える指先で1Xのテーパーリーダーに2.5号フロロカーボンのティペットを継ぎ足す。
フォーリング中にシルエットが崩れず、リトリーブ中は出来るだけスリムになることを意識したフライを何本か、
この日のためにチープなプラスチック製のフライボックスに巻き加えておいた。フライのカラーローテーションも意識しつつ・・・。
もしかしたら僕が気付かない間に、フッとなぞるようなショートバイトがリトリーブ中にあったかもしれないけれど、
結局最後までこの海の色を映し出したかのような海アメの背中には出合えなかった。
でも、年末年始のお休みを挟んで久しぶりにフィールドに立ってみると、気分は少しリフレッシュ出来たかな。
そんなことを道南の雪降る小さな漁港の斜路に立ちながら、僕は思ったのだった。


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# by slowfishing-yun | 2014-01-05 19:11 | Fishing Reports | Comments(8)
2014年 01月 01日

<Episode #1> KINEYA MODEL 705

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きっとこれも何かの巡り会わせなのだろう。
クリスマスから数日が過ぎ、仙台にある杜の家ブルックさんのHPで偶然見つけたUSEDのKINEYA MODEL 705。
僕はずいぶんと迷った末に、思い出のたっぷりと詰まった一台のアンチリバースのソルト仕様のリールを手放して、
このリールを購入することにした。
それにしても、探し物はある日突然ひょんなところから見つかることもあるものだ。


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おそらく何らかのイメージの刷り込みもあるのだろうけれど、僕は何だかんだと言ってもやっぱり、
S字ハンドルに象徴されるような両軸のバーミンガムスタイルのリールが好きなのかもしれない。
これまでも、いくつかの国外で製造されたS字ハンドルのバーミンガムスタイルのリールは手にしてきたし、
もちろんそれらのリールはたっぷりとフィールドで愛用しているけれど、
この新しく手元に届いたKINEYAさんのリールは、これまでのリールとはちょっと趣の違った雰囲気をかもし出していた。

炭黒のような艶消しの漆黒に塗られたハンドルプレートにリアプレート。
2つのプレートを留める小さなビスすら見当たらないシンプルさ。
まるで夜空に浮かぶ大きな満月のように、絶妙のバランスで光沢を控えめにしたブレーキノブというかダイアル。
リールを眺めていると、丸というか大小さまざまなサイズの円形がいくつも象徴的にデザインされている印象。
僕には不思議と、控えめだけれどもしっかりと存在感のある「和のテイスト」が感じられた。

ちなみにKINEYAさんによると、リールのメンテナンスはこちらの工房でするので、
絶対にリールを自分で分解しないで欲しいとのこと。
そんな話を聞くと、一度ぐらいはリールをこっそり分解してブレーキシステムの構造を見てみたいものだけれど、
こればかりはちょっと自重しないといけないようだ。


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手持ちのバッキングラインが少し足りなかったけれど、アトランティックサーモンSH、S2/S3、#10/11を
リールに巻き込んだ状態で、リールの自重は493グラム。
確かにリールはちょっと重めだけれど、マイザーの14フィート、#7/8番、MKSとの組み合わせで、
フィールドではそれほど重さは気にはならないだろうと思う。
それにマイザーさんは、the "Fire God"のコスメを「和のテイスト」と呼んでいたから、
ちょうどいいコンビネーションになるかもしれない。
ラチェットサウンドは、決して派手ではないけれど、少しこもったような中音域の心地よいサウンドを奏でてくれる。
リールのブレーキシステムはしっかりと効くようだけれど、どうもテンションの掛かり具合に周期的に強弱が出るようだから、
もしかしたら一度は京都にあるKINEYAさんの工房でメンテナンスしてもらったほうが良いのかもしれない。

届いたリールは、まるで製作者の気持ちがしっかりと込められたハンドメイド仕立ての工芸品のようなリールだった。
フィールドでの使用には、もしかしたらちょっと慎重になるかもしれないけれど、きっとものぐさな僕のことだから、
さてどうなりますことやら・・・笑。
P.S.このハンドルの形状、なかなかつまみやすくて、僕としてはお気に入り。
こういうところにも、さりげない工夫がされているように思った。


遅れましたが、今年も宜しくお願いいたします。
今年が皆様にとって良い年になりますように。


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# by slowfishing-yun | 2014-01-01 12:35 | My Favorite Reels | Comments(10)
2013年 12月 31日

<Prologue #6> Hardy the "PERFECT" 33/4"

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Hardy the "PERFECT" 33/4"

fishordieさんの仲介でカナダにお住まいのアングラーの方から僕が手に入れたリール。
スカジットコンパクト540グレインを巻き込んだ状態で、リールの自重は449グラム。
決して軽くはないけれど、フィールドでその重さを意識したことはないだろうか。
オリジナルは少しグレーがかったエナメル塗装だったけれど、
思い切ってハンドルプレートとスプールのエナメル塗装をゴシゴシと塗料はがし剤を塗って落としてからは
リムの黒とステンレスのような光沢のあるシルバーとのコントラストが美しくって、
とにかく僕のお気に入りのリールのひとつとなった。


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これまでに、黒鉛塗装のほとんど落ちたPerfectの4"ナロースプールの37/8"を手にしたことはあるけれど、
このエナメル塗装のPerfectとはラチェットサウンドがちょっと違ったような気がする。
とにかくハンドルをカリカリと回すと、何ともいえない上品で官能的なサウンドを奏でてくれるのは、
きっとハンドルプレートとボディとの間の小部屋というか狭い空間の中で、音そのものが共鳴しているからなのかもしれない。
エナメル塗装のPerfectは少しミュートの効いたくぐもったサウンドだけれど、黒鉛塗装のPerfectの方はというと、
より乾いた硬質なサウンドだっただろうか。
もしかしたら製造された年代にもよるのだろうけれど、ボディそのものの材質や厚さも何かしらその音色に
影響を及ぼしているのかもしれない。それにラチェットにテンションを加えるスプリングの素材も違ったような・・・。
個人的にはやっぱり黒鉛塗装のPerfectのラチェットサウンドの方が、さながらビンテージ楽器のようで好きだろうか。


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僕としては1912チェックの復刻モデルの33/4"がとても気になるリールのひとつ。
何ともメカニカルなチェックシステムも魅力的で、きっと素敵な音色を奏でてくれるのではと思ってしまう。
USEDでもなかなかめぐり合えないけれど、もしも出合えることがあったらと・・・笑。

エナメル塗装を落とした場合、ハンドルプレートやスプールが水に濡れるとすぐに変色し始めるから、
釣行後はコンパウンドを染み込ませた柔らかい布でこまめにメンテナンスをすることにしている。
それでも、最初に塗装を落とした時のような硬質な光沢が全て取り戻せるわけではないけれど、
それはそれで個人的には何とも言えない趣があって好きかもしれない。


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# by slowfishing-yun | 2013-12-31 14:34 | My Favorite Reels | Comments(0)
2013年 12月 31日

<Prologue #5> Hardy the "ST JOHN"

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Hardy the "ST JOHN" 37/8"

ダブルハンドのスペイロッドに合わせるHardyのナロースプールのリールといえば僕がすぐにイメージするのは、
Marquis Salmon No.1ST JOHNのふたつぐらいだろうか。
どちらも構造はシンプルで、さらに軽量。おまけにリールの直径は37/8"とほとんど同じサイズ。
アトランティックサーモンSHなどのスカンジ系のラインを収納するには、巻き癖もつきにくくてちょうど良いサイズ
なのかもしれない。
Perfectにも37/8"や多少はラインを収納出来そうなワイドスプール・タイプのリールもあるけれど、
どちらも新品ともなると高価なのでなかなか簡単には手が出せそうもないし・・・。

ちなみに、
Marquis Salmon No.1はアトランティックサーモンSHの#10/11を巻き込んだ状態で、自重は322グラム。
ST JOHNはアトランティックサーモンSHの#9/10を巻きこんだ状態で、自重は308グラム。
どのリールと比べて軽量と表現するかはさておき、とりあえず参考までに(笑)。


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Marquis Salmon No.1、それにST JOHN。どちらもかなり丈夫だからフィールドのコンディションを選ぶことはなく、
どんな状況でもタフに使えて好きなリールだけれど、僕としては、やはりST JOHNの方が好きだろうか。
その理由のひとつは、このリールのスクリーミング・サウンド。
つまり車でたとえるならエキゾーストノート、エキゾーストサウンドがとにかく官能的で派手だからだろうか。
例えばスイングするフライをテイクした大きな鱒が下流へと猛烈なスピードで疾走しようものなら、
エンジンはリミット近くまで一気に高回転で回りだし、甲高いエキゾーストノートがフィールドに響き渡って、
フィールドでの存在感はそれはもう・・・笑。
もちろん、時にはちょっとそのサウンドが大き過ぎて恥ずかしくなる時もあるのだけれどもね。

ちなみに、ST JOHNの方は、特に何かしらチューンナップを施さなくても、そのサウンドは十分大きくて魅力的だったりする。
それに、黒鉛塗装とエナメル塗装やチェックの構造の違いで音色は少し変わるけれど、黒鉛塗装のサウンドは、
どちらかというと音色に丸みを帯びていて、エナメル塗装のMk2チェックの方はかなり鋭角的なサウンドだろうか。


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正直なところ、エナメル塗装がボテっと厚く塗られたUSEDで手に入れたST JOHNには、リールとしても
機能やそのサウンドは別として、デザインは無骨だけれどどこか野暮ったい感じがしてあまり魅力を感じず、
フィールドではお気に入りのロッドに装着するということはあまりなかっただろうか。
でも、ボディやスプールのエナメル塗装をゴシゴシと落として、どこかより軽量で洗練された雰囲気が漂うように
なってからというもの、僕はさらにこのリールのことが好きになったかもしれない。
フィールドで酷使する度にボディやスプールの変色や腐食が少しずつ始まって、さらに良い感じの風合いが
出始めたように思うけれど、時々コンパウンドを染み込ませた柔らかい布で磨くと、またちょっと違った表情を
見せてくれるような気がして、これも釣行後のリールのメンテナンスの楽しみのひつだろうか。


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ボディに彫られた刻印に最初はタミヤのアクリル塗料でお化粧を施してみたけれど、あまりしっかりと塗料が
入り込まなかったので、今度はホームセンターで買った水性エナメル塗料で、もう一度お化粧を施してみた。
今度はしっかりと塗料が入ったようだけれど、やはり赤い塗料にほんの少しだけ黒を混ぜた色の方が、
昔のスポーツカーのボディに塗られたイタリアンロッソのように、どこかクラシカルで落ち着いた風合いが
出るのではないかと思った次第。

そんな僕のST JOHNは、きっと来シーズンもフィールドで官能的なエキゾーストノートを
たっぷりと奏でてくれるんじゃないかと思っている。


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# by slowfishing-yun | 2013-12-31 12:03 | My Favorite Reels | Comments(0)
2013年 12月 30日

<Prologue #4> R.B.Meiser Fly Rods

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R.B.Meiser Rods

いつも思うのだけれど、マイザーロッドに描かれているこの手書きのロゴ・サインはいったい誰が書いているのだろうか。
やはりマイザー氏本人、それとも工房のスティーブ氏?
どちらにしても、このロゴ・サインにあまりブレは見当たらないようだから、いつも決まった人が書いているんだと思う。
きっとロッドのラッピングが全て終わってから、ロッドのスペック、グレインウィンドウ、それにオーナーネーム、製作年月と共に、
最後にこのロゴ・サインがまるで儀式のように書き入れられるのだろう。

ロッドのブランクに貼られたステッカーやプリントされたロッドメーカーのロゴも悪くはないけれど、個人的には手書きの
ロゴ・サインの方が、何となく1本1本をユーザーごとに仕上げたカスタムロッドらしくて好きかもしれない。


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the "Autumn"やthe "Highlander Green"などといった定番のカスタムのコスメ以外にも、
the "Fire God" (left)
the "Water God" (center)
the "Trouty Orange" (right)
それに写真には写ってないけれど、the "Trouty Blue"などなど、本当にコスメも様々。
友人達とフィールドでカスタムのマイザーロッドを並べてみても、どれも個性的で、同じコスメを見かけたことはない。
でも、時々それほどカスタムの希望は出さず、同時期にオーダーするとまるで兄弟ロッドのようなコスメになることは
あるだろうか(笑)。


S2H14067MKS-4   (14フィート、#6/7番のMKS)
S2H14078MKS-4   (14フィート、#7/8番のMKS)

僕にとってこのふたつのスペックが、北海道の様々なフィールドでのメインロッド。
フィールドの規模や出合う可能性のあるトラウトやサーモンのサイズによって、ロッドはもちろん使い分けるけれど、
おそらくこのふたつのスペックの異なるスペイロッドさえあれば何とかなるかなと思ってしまう。


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# by slowfishing-yun | 2013-12-30 19:34 | Custom Spey Rods | Comments(2)