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2015年 11月 15日

<Episode #155> クラシック(ビンテージ)・マイザーと天塩ブランドの本流レインボー

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平日の夜には、これから始まる晩秋から初冬の本流アメマス・シーズンに向けてフライを少しずつ巻きためていた。
そうなるとやはりどうしても僕の気分は徐々にアメマスモードへとシフトし始める。
何しろ新作フライというものは、是非ともフィールドで真っ先に試してみたいものだからね。
でも、ここ3週間ほど絶好調というかLLサイズの本流レインボーとの相性がすこぶる良いMoriさんと相談して、週末は天塩川へ。
今回はMoriさんの車の助手席に乗せていただき、深夜の道央道、そしてR275を北上する。
テレメーターによる天塩川の水温は3~4℃。
これはちょっと釣りとしては厳しいかもと予想しながら、今シーズン最後の天塩川でのキャスト&スイングを楽しめればと。


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ちょっとした気分転換にと、今シーズンのフィールドではまだ使っていないクラシック(ビンテージ)・マイザーのMKSを使うことにする。
ロッドに記された製造年月日は2007年10月とかれこれ8年前に製造されたロッドで、僕にとっては記念すべき最初のマイザーロッド。
スペックは14フィートの#7/8番。ブランクは現行モデルの日本製とは違い、当時はNZ製。
グリップのデザインも現行モデルと異なり、かなりスリムな仕上げ。
リールシートはストラブル社のニッケルシルバー製、ウッドインサートはココボロ。
カスタム仕様のコスメのフェザーインレイは、マイザーのHPから"Autumn"をチョイス。
ここ最近の派手なコスメとは違ってなかなか控えめなコスメだけれど、当時はとても斬新に思えたのがちょっと懐かしいかな。

そんな久しぶりに使うロッドのジョイント部分に透明なビニールテープでテーピングを施そうとすると、
切り出したビニールテープはすっかり本来の柔らかさを失っている。
何しろ早朝の気温は-6℃。もちろんフリース地のグローブは必需品。
晩秋から初冬へと移り変わろうとするフィールドには白い霜がたくさん降りていた。


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先週のMoriさんが天塩川のグッドサイズに出合ったフライは、確かステンレス製のワイドゲイプ&ショートシャンクの
フックに巻かれたビーズヘッド仕様のE.S.L.(エッグ・サッキング・リーチ)。
だから僕も先週は慌てて2本だけコーンヘッド仕様のインタラクション・スタイルのチューブフライでE.S.L.を巻く。
ちなみにUOSO社のコーンヘッドのサイズはC3、さらに沈下速度を速めるためにレッドワイヤーを少量巻き足している。
結局この日はスカジット・コンパクトのフローティングにタイプ8のティップ、それにこのE.S.L.の組み合わせで一日を通しただろうか。


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この日の最初に出合った薄化粧のパールピンクの本流レインボーは、まるで透き通った宝石のように美しかった。
最初に選んだ岩盤スリットのポイントをキャスト&スイングを繰り返しながら少しずつステップダウンし、
狭い流れから少し開けた流れに差し掛かってからの出合いだった。
川底に一生を終えたサーモン達の亡き骸が横たわる浅瀬の岸際では、残ったサーモン達が最後の力を振り絞っている。
川幅が広がりゆったりとし始めた流れをフライがスイングしていると、グゥンという衝撃と共にランニングラインが引き込まれた。
サイズこそMサイズ半ばだけれど、少しグラマラスな乱れのないバランスの取れた美しい本流レインボーだった。
水温の低さが彼女本来のスピード感溢れるパワーをもしかしたら少し封印したかもしれないけれど、それでも十分力強かった。


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スペイやスカジット・キャストを始めるようになって、道内のさまざまなフィールド、特に本流へは足を運んだだろうか。
そんな本流で出合えるトラウトの中で、やはり本流レインボーに僕は一番魅了されているのかもしれない。
最初は尻別川に始まり、渚滑川、湧別川、十勝川、それに天塩川などとフィールドはますます広がっていく。
そんなさまざまなフィールドで出合える本流レインボーはどれも美しく素晴らしいのだけれど、
天塩川の本流レインボーには、他のフィールドで出合う本流レインボーとは、またちょっと違う思い入れがあるのかもしれない。
そんな思い入れを、友人のひとりが「天塩ブランド」と表現した。
もしかしたらあまり適切な表現ではないかもしれないけれど、僕には上手く言い当てているなと思える。
スティールヘッドを釣りに僕は北米へと足を運んだことはないけれど、もしかしたらスティールヘッダーにとっての
トンプソン・リバーへの思いに近いものがあるのかもしれないなどと思う。
フィールドの雰囲気、広大な流れ、そしてそこで出合えるかもしれないグッドサイズ、グッドコンディションの本流レインボー、
おそらくどれをとっても本流好きのアングラーにとって魅力的なフィールドだと僕は思う。


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流れの冷たさで厚手の靴下を履いていてもネオプレーン製のストッキングウェーダーの中で足先がジンジンと痺れていた。
簡単なランチとイタリアンローストの深煎りコーヒーで身体を温めるブレイクタイムを挟みながら、
いくつかのポイントをめぐるも相変わらずノーバイト。
午後からは少し気温が上がったのか、指先にシャーベット状の氷も出来なくなり、ロッドのガイドが氷ということも無縁なものになった。
さて、辺りが暗闇に包まれるイブニングまでの最後の時間をどこでキャスト&スイングするかということになり、
相談の結果、取り敢えずコンタクトのあった朝一番に入った岩盤スリットのポイントへともう一度戻ることにする。

グゥゥンという重い衝撃はスイング中に不意に訪れた。
まるで音でも響いてきそうなガツンという鋭角的な衝撃ではないので、サーモンのスレ掛かりではない事は確実だった。
バットからグニャっとのされたロッドに伝わるバイブレーションから大きな魚がフライをテイクしたことを確信する。
ロッドに伝わる振幅の広いヘッドシェイクが間欠的に続いた。
でも、ロッドグリップを握りしめ、リールにラインを慎重に巻き取りながらも気持ちの中では半信半疑。
ジワジワと距離が縮まり始め、ロッドのバットに力を入れて魚を少し浮かせる。
流れの流芯の中に浮き上がった大きな魚体。
その少しサビの入った大きな魚体に走るレッドバンドが見えた瞬間、僕の心拍数の数値が一気に上がった。

そこから友人たちが見守る中、レインボーとの長いやり取りがスタートする。
一度ランディングを試みようと強引に浅瀬へと寄せた瞬間、驚いた本流レインボーのエンジンに火がつき対岸めがけて猛烈ダッシュ。
ブレーキを効かせた4インチのサラシオーネの悲鳴と共にロッドがのされ、フッとアディオスしたかとテンションが失われ慌てたけれど、
フッキングしたポイントが良かったのか、大きな本流レインボーとのランデブーは何とか続いたまま。
もしも僕ひとりなら否応無しにランディングにトライするけれど、今回はMoriさんにランディングのサポートをお願いする。
そして浅瀬へと本流レインボーを誘導し、無事にMoriさんのネットでランディング。
もしかして、ネットに入りきらず危なかった?(笑)

ウェーディングジャケットの袖口から冷たい水が染み込むのを忘れてレインボーをホールドすると、ずっしりとした重量感。
LLサイズ、68cmの本流レインボーはもちろん僕にとってトロフィーサイズに他ならない。

もう少し水温が高ければ、本来のスピード感溢れたパワーでランディング出来なかったかもしれないと思う。
フォーセップで5号のチヌ針をそっと外し、流れの中でホールドした指先から力を抜くと、ゆっくりと流れの中へと戻っていった。
冷たい流れの中から僕のフライを見つけてくれた本流レインボー、それにアシストしてくれた友人達にグラシアス。
そして何よりも、あの本流レインボーをしっかりとリリース出来た事が僕には嬉しかった。
                                                               67.91

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# by slowfishing-yun | 2015-11-15 21:26 | Fishing Reports | Comments(16)
2015年 11月 14日

<Episode #154> 今シーズンのラスト・本流レインボー / 天塩川

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11月14日は土曜日、晩秋に彩られた天塩川のイブニングがそろそろ間近にと迫ろうとしている。
そして最後の最後に、天塩川がそっと僕に微笑んでくれた。
本流レインボーの今シーズン・ラストを締めくくるには、出来すぎなぐらいのグッドサイズ。
とてもグラマラスなボディのレディは、僕の本流レインボーの記録を1cmだけ更新するLLサイズ。
出合えたことに心の底から、グラシアス。
ご一緒させていただいた、Moriさん、akiranさんサワヤカサワデーさん、ありがとうございました。
詳細は後日にでも。


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# by slowfishing-yun | 2015-11-14 23:39 | Fishing Reports | Comments(8)
2015年 11月 08日

<Episode #153> シンクロ

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シンクロとは英語 synchronizeの「同期する、タイミングをあわせる、同時に起こる」 に由来する語で、
英語 sync に相当する略語。 「シンクロする」のように動詞として使う。   ウィキペディアより参照

ちなみに僕としては、シンクロに「同調する」という意味合いも加えたいところ。

おそらくシンクロの反対の意味合いとして「ずれる」という言葉があると思われるが、大きくずれるのは別として、
反復させる微妙なずれというのは、不思議なグルーブ感というか「うねり」のようなものを産み出すことがあり、
ずいぶんと昔に曲作りに夢中になってた頃は、そんなリズムやビートのグルーブ感がとても心地が良かったのを思い出した。
             

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おそらく土曜日の僕はフィールドの奏でるリズムとうまくシンクロ出来なかったのだろう。
ヤフーの天気予報では、早朝のフィールドの予想気温は-8℃。
すっかり真冬仕立ての服装を準備して天塩川のフィールドに向かったけれど、予想に反して早朝の気温は-1℃。
こればかりは嬉しい誤算だっただろうか。
もちろんフリース地のグローブは必需品。
でも、ランニングラインをリトリーブすると少しシャーベットが出来る程度で、ロッドのガイドが凍るということはほとんどなかった。


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遡上していたサーモン達はすっかり白くなっていたから、レインボー達がサーモンが産み落としたエッグに夢中になるシーズンも、
そろらく終わりに近いのだろう。
それにシンクロして、僕の今年の本流レインボーのシーズンもフィニッシュを迎えることになる。

晩秋のフィールドではほとんどポイントで、スカジット・コンパクトのフローティングとタイプ8のティップの組み合わせで通した。
スイングするエッグパターンのチューブフライには2度ほどバイトが訪れる。
1度目は友人からのメールに返信をしている時に、ゴン、ゴン、ゴン。
2度目は水深のある流れをフライがスイングしている時に、ゴン、ゴン。
産卵床の瀬の下の岩盤エリアでフライをテイクしたのがMサイズのアメマスだったから、きっとどちらもアメマスだったのだろう。
土曜日の晩秋の雰囲気が漂う天塩川では、最後まで本流レインボーと僕はシンクロ出来なかった。
何となく2週間以上前に天塩川にロングステイした時の後半の厳しかった印象が、ずっと最後まで拭い去れなかったように思う。


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でも今回ご一緒したMoriさんは、僕とは違って晩秋の天塩川と上手くシンクロしたのかもしれない。
先行する僕の後ろからフライを流していたMoriさんから興奮冷めやらぬ声で電話がかかってくる。
2週も連続して湧別川でLLサイズの本流レインボーに出合った彼に、この日はフィールドこそ違うものの、
3週連続となるLLサイズのメスの本流レインボーが微笑む。
Moriさん、コングラチュレーション。ワイドスプールのパーフェクトを使うと、なんか良いことがあるみたいだね(笑)。

そんな訳で、そろそろ僕は来シーズンのためにリールなどのタックルのメンテナンスでもしてみようかと。

最後の写真は、湧別川の強面レインボーの別アングルの写真。ちなみに僕のカメラのシャッターを押したのはABUさん(笑)。
                                                          67.93→閉局

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# by slowfishing-yun | 2015-11-08 16:19 | Fishing Reports | Comments(16)
2015年 11月 04日

<Episode #152> 湧別川の強面レインボー

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少し黒くサビの入った太くて体高のあるボディ。
レッドバンドは鮮やかで、赤く染まった胸ビレはとにかく大きかった。
でも、それ以上に印象的だったのはオスのレインボーのその顔つき。
下顎はしゃくれ、上顎には多くの傷が残されていた。
こんなタフでいかつい顔をしたオスの本流レインボーに出合うのは、もしかしたら僕は初めてかもしれない。


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11月3日は文化の日の祝日、ABUさんとずいぶんと行き先に迷った挙句、車をオホーツクの本流へと向ける。
峠の気温はやはり0℃近くまで冷え込んでいたけれど、フィールドに辿り着くと風はほとんど無風で、それほど寒さを感じない。
針葉樹のオレンジがかった紅葉が、朝日を浴びて美しさを増しながら輝いている。
ユニクロのフリース地のパンツの上にくたびれたネオプレーン製のストッキングウェーダーを履き、シューズの紐をしっかりと締めた。
ゆっくりと本流にウェーディングすると、やがてジンジンと足先のシビレを感じ始め、本流の水温が少しずつ下がっていることを感じる。
ティペットの先にはコーンヘッド仕様のエッグパターンのチューブフライ。
そんなフライをゆっくりとスイングさせていると、最初のお相手はMサイズの白い斑点を身に纏ったアメマスだった。


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岸際では時折りバシャっと尾ビレや背ビレが見えるなどサーモン達の遅い産卵行動の真っ最中。
そんなサーモン達のすぐ後ろにフライをキャストし、少し水深のある流れにフライを馴染ませ、ゆっくりとスイングさせていると、
不意にグゥアンという重い衝撃がラインに伝わり、一気にラインに張り詰めた緊張感が広がる。
グゥアン、グゥアンとロッドに伝わる振幅幅の広いヘッドシェイクと下流へと走ろうとするそのスピード感から、
フライをテイクしたのが紛れもなくグッドサイズの本流レインボーだと僕は確信した。


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フロントグリップのコルクをモディファイしてもらった"Trouty Orange"のMeiserはバットから気持ちよいカーブを描き、
ブレーキノブを絞っておいたSaracione MkV 3-3/4"から奏でられる早朝の美しい音色が僕の耳に届けられた。
レインボーが水面近くで暴れるたびにヒヤヒヤしながら2度ほどセルフランディングに失敗し、
もう少しラインをリールに巻いておくべきだったと、ちょっと反省(笑)。
3度目はABUさんのサポートに甘えることにして、無事にランディング。
LLサイズには2cm足りない、でも僕にとっては十分グッドサイズの顎のしゃくれたオスの本流レインボー。
フッキングポイントは決して悪くはなかったから、おそらくアディオスすることはなかったと思うけれど、やり取りはかなりスリリング。
冷たい流れの中でホールドした手を緩めると、強面の老練の彼はゆっくりと流れの中へと帰って行った。


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晩秋のフィールドで、他のアングラーに出合うということはほとんどなかった。
同じ日に北の本流へと足を運んだ友人達のことがちょっと気になったりもする。
そしてイブニングまでの残された時間、まだ足を運んだことがないいくつかのポイントをABUさんと巡ってみた。
日が傾くと吐息が白くなり始め、気温が一気に下がり始めた。
寒さで体がジワジワと冷え始めると、何だかとてもよし乃のみそラーメンが食べたくなった。
そんな訳で、ダイエット中の僕はMoriさんからHARADYの新しいステッカーをいただく(笑)。
                                                               50.65

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# by slowfishing-yun | 2015-11-04 20:50 | Fishing Reports | Comments(17)
2015年 11月 01日

<Episode #151> 湧別川のアメマス

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グッと気温が下がった10月最後の土曜日、本流好きのアングラーは今週もどこに足を運ぼうかとフィールドの選択に迷う。
金曜の夕方から岩尾内ダムの放水が止まり、本流レインボーのほぼシーズンラストの天塩川にもう一度足を運ぼうかと迷ったけれど、
ハイウォーターのお気に入りエリアの水位が下がるのには、多少の時間が掛かるので、今回は湧別川へと車を走らせた。
上川町を過ぎると峠道は路肩に白い雪が残るアイスバーン。久しぶりの雪道走行に思わずハンドルを握る腕に力が入る。


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秋の深まった湧別川で僕が最初にマイザーの#6/7番のMKSを振ったのは、本流の片側が護岸された長いランのポイント。
先週の雨による増水でポイントの雰囲気は少々変わり、浅瀬には鮭の亡き骸だけでなくたくさんの流木が横たわっている。
岸際には産卵のピークをすでに終えたサーモン達が力なく泳いでいる。
そんなサーモン達が産み落とした卵に目がないレインボーに好かれるんじゃないかと、
今回ティペットの先に結んだフライは、コーンヘッド仕様のエッグパターンのチューブフライ。
前夜に慌ててタイイングしたフライを対岸めがけてキャスト&スイングさせていると、Mサイズのレインボーが思わずフライをテイク。
2度ほど本流の上をジャンプして、気持ちよくロッドを曲げてくれたけれど、残念ながらこのレインボーとは反転と同時にアディオス。


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少し下流へと釣り下っていくと、瀬頭から外れた緩い流れにたくさんのサーモン達が定位していた。
そんなサーモン達のすぐ後ろにフライを落とし込み、底付近でフラフワと漂酔うのをイメージしながらステイさせていると、
いきなり何かが大きな口をあけてフライを咥え、グゥアン、グゥアンと大きな振幅でヘッドシェイクし、反転すると一気に下流へと疾走した。
オレンジ色のランニングライン、白いバッキングラインと、ブレーキを絞ったサラシオーネから一気にラインが引き出されていく。
最初に写真を撮ったこの時点まではまだ僕にも余裕がったのかもしれない。


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でも、次にカメラのシャッターを押した時点で、僕の中から余裕というものが消えていたのだろう。
さらに魚は速い流れに乗って下流へと疾走していく。
2.5号フロロのティペットが切れるギリギリまでブレーキを絞っても、さらにリールから白いバッキングラインが吐き出されていった。
バッキングラインの残りは僅か。僕の心臓の心拍数が上がる。
ロッドを握りしめながら少し瀬を下り、ラインの先の相手に最後のプレッシャーをかける。
そしてまるで何事もなかったかのようにフッとロッドからテンションが失われた。
色を失った無機質なサウンドを聞きながらサラシオーネに引き出されたラインを巻き取った。
これほど長く引き出されたバッキングラインをフィールドで巻き取ったのは久しぶりかもしれない。
あれがもしも本流レインボーなら、僕にとっては紛れもなくトロフィーサイズ。
それのしてもこのアディオスは、僕にとってちょっと心残りかな。


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瀬頭から外れた緩い流れでは、何事もなかったかのようにサーモン達がステイしていた。
もう一度気を取り直して少し下流にフライを漂わせると、不意にグゥンとラインが引き込まれる。
レインボーほどのスピード感はないけれど、なかなか力強かったお相手はゴオマルのアメマス。
もしかしたらこのサイズのアメマスに湧別川で出合うのは僕にとって初めてかもしれない。
アメマスは十勝川下流域でと思っていたけれど、フィールドこそ違うものの、ちょっとフライング気味か(笑)。

その後、下流にいたMoriさんにまだ撲が足を運んだことがない1ヶ所のポイントへと迷ガイドをしていただく。
でも、さすがにMoriさんが釣った後に流しても、ちょっと厳しいなあ(笑)。


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フィールドは薄い雲で一日中覆われていた。
乾いた秋の色が深まる秋の印象をさらに強めているように感じられる。
少し下流域へと車で移動することにした。
分流した流れが合流するポイントで、対岸にキャストしたエッグパターンのチューブフライがグゥンと引き込まれる。
サイズこそ小振りだけれど、メタリックなボディに身を包んだレインボーが顔を出してくれた。
そしてさらにステップダウンを続けていると、スイングの終わりかけで鈍重なテイクがロッドに訪れる。
バットから美しい曲線を描くロッドを握りしめながら、経験的にお相手がお目当てのレインボーでないことは分かっていた。


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オホーツクの海から遡上して間もないのだろうか。
ほぼナナマルのアメマスからは、十勝川や別寒辺牛川で出合う遡上系のアメマスの匂いがした。

秋が深まりつつフィールドで、一日ゆっくりと釣りをしたように思う。
フィールドで淹れて飲む深煎りのコーヒーが、身体の芯から温まって、いちだんとありがたみを感じる季節になっただろうか。
フィールドでアメマスに出合え始めると、もうすぐ季節は晩秋から初冬へと移り変わる。いよいよ雪の季節だ。
                                                         50.72→50.69

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Today's BGM : 英国はブリストル・サウンドのMassive Attackもディープなサウンドで好きだけれど、
最近はデンマークのDJ TOMとDJ BUDAによるダブ・テクノ・ユニットLulu Rougeもミニマルな静寂さの中にインパクトがあって好きかな。





# by slowfishing-yun | 2015-11-01 17:37 | Fishing Reports | Comments(10)