2017年 06月 04日

<Episode #327> 北の本流


f0317993_16312708.jpg



カレンダーではもうすでに6月だというのに、季節外れの寒波が北の大地を包み込む。
そして土曜日に訪れた北のフィールドでは冷たくて強い風が木々の幹や新緑の葉をガサガサ、ギーギーと揺るがせ続けていた。
濃淡の乏しい色彩を欠いたようなモノトーンの空が頭上を覆いつくす。
遠くの緑が白く霞み始めると、やがてパラパラと存在感の薄い小雨も降った。
朝夕の気温は5℃前後。
きっとエゾハルゼミもこの寒さでは木々の葉の裏で震えているに違いない。



f0317993_16315658.jpg



f0317993_16331339.jpg



f0317993_16333559.jpg



数日前にオレゴンの工房から修理を終えて戻ってきたMKXを使ってみることにする。
14フィートの7/8番のスペックで、コスメは不思議な色合いのグリーンが特徴的な"Copenhagen Green"。
そして、オールブラック仕様のサラシオーネの4”のサーモンリールとの組み合わせは、特に僕のお気に入りのコンボのひとつ。
なんとなくこの黒のコンボだとリールのハンドルが描く柔らかいS字のカーブがさらに浮かび上がるような気がするのだが・・・。
一度バットセクションのフェルール近くをキャスト中に折ってしまったけれど、工房のNicがうりふたつのロッドをもう一度組み上げてくれた。



f0317993_16323241.jpg



f0317993_16325614.jpg



f0317993_16334319.jpg



半年ぶりに天塩川のポイントをいくつか彷徨った。
Moriさんに案内してもらったポイントは、ヒグマの気配がプンプン。決して朝夕に一人では近づきたくはないかな。

テレメーターの濁度計はどうやら故障しているようだけれど、フィールドで僕が感じる本流の濁度は5~6前後。
薄っすらと白さの混じった淡いモスグリーンの流れがいつものように力強く流れていき、時間が経つにつれて透明度が少しずつ増していった。
早朝らしい野鳥のさえずりでフィールドは包まれていたけれど、この寒さの中でヒゲナガの姿は一度も見ることはなかった。
夕方前には少し風が弱まり小さなカゲロウがハッチしていて、川面スレスレを滑空するように小さなツバメが飛んでいる。
もしも好天が続けば、そろそろウエットフライの釣りが楽しめるようになるかもしれない。
ウエットフライが入ったフライボックスも用意しておかないとね。
                                     68.10


f0317993_16334919.jpg



f0317993_16325041.jpg







Today's BGM :




[PR]

# by slowfishing-yun | 2017-06-04 17:37 | Fishing Reports | Comments(4)
2017年 05月 28日

<Episode #327> Sea running rainbow trout(or Steelhead?)

f0317993_15203165.jpg



濃淡の乏しい淡い灰色に染まった渚滑川の空に、一日を通して何かしらの変化が訪れることはなかった。
野鳥の声を掻き消すような風の存在もこの日は特に薄かったように思う。
それでも朝にはこの日の運動会の開催を告げる花火の音が遠くから聞こえてきただろうか。

まるでそんな空の淡い灰色をそっと流し込んだような雪代が混じった渚滑川本流の流れが僕の目の前をとうとうと流れ続けている。
浮島峠にはまだ残雪が残っていたぐらいだから気温、それに水温ともまだまだ低く、早朝のフィールドは6℃前後とかなり低い。
フリースのジャケットを着たくなるぐらいに肌寒かった。


f0317993_15344440.jpg



f0317993_1535824.jpg



f0317993_15352298.jpg



Meiserの13フィート、5/6番のMKSにFarlexの3 3/4" S-handleのリールの組み合わせは、僕にとってお気に入りの組み合わせ。
まだまだ放流されて間もないレインボー達だけれど、雪代混じりの速い流れに乗れば、リールの心地良い逆回転音を奏でてくれる。
それでも今シーズンは水温がまだまだ低いこともあり、そんなレインボーたちも活性がそれほど高くはなかったようだ。

ABUさんMoriさんとC&R区間の大雄橋から渚滑川を釣り下ってみることにする。
相変わらず気温は低いけれど風は穏やかで、いつもの春ゼミではなく野鳥の囀りと本流の奏でる川音に包まれているだけで気持ちが良かった。


f0317993_163846.jpg



f0317993_1632560.jpg



f0317993_164434.jpg



C&R区間から離れて、さらにその下流域を久しぶりに訪れてみることにした。
一番上流にいた僕が釣り下り始めて、まだ数歩しかステップダウンしていなかった頃だったと思う。
僕のiPhoneが突然鳴り始める。
ABUさんからの電話に何事かと出てみると、
ABUさんが興奮した声で「76、76」と連呼している。
そしてその声の向こうでMoriさんが「何だこれ?ニジ?もしかしてスチールヘッド?」と叫んでいる。
さっぱり状況がつかめないのでとにかく電話を切り、リールにラインを巻いて100mほど下流にいる彼らの方へと向かう。


f0317993_16184174.jpg



f0317993_16185312.jpg



ギラギラとシルバーメタリックに輝く大きな鱗がまるで鎧のようなボディ、そして灰色がかった頭部の色が印象的だった。
天塩川で目にすることがあるLLや3Lサイズのグラマーでメタボリックな本流レインボーともまた雰囲気が違って、
まるで海から遡上してきたばかりのサーモンのよう無駄がない流線型のボディ。
とにかく言葉を失うぐらい美しいレインボーだったことに違いない。
サイズは76cm、おそらく海に降りたレインボートラウトなのだろう。
過去にC&R区間よりも下流域で何度か僕も本流レインボーには出合ったことはあるけれど、
20年以上も毎年のように渚滑川に足を運んでいるけれど、
このエリアでこのサイズ、さらにこのタイプのレインボーを見たのは初めて。

ABUさん、素晴らしい出合い、おめでとうございます。
素敵な魚を見せていただきました。
出合える確率は宝くじ並みでしょうか。
しばらくは思わずニヤッとしてしまいそうな余韻に浸れますね・・・笑。

おそらくこんな海からの遡上タイプと思われる本流レインボーにはお目にかかれないと思うので、僕も自分のタックルを横に置いて記念写真を一枚。
                                          36.12


f0317993_1641891.jpg






Today'sBGM :


[PR]

# by slowfishing-yun | 2017-05-28 16:43 | Fishing Reports | Comments(6)
2017年 05月 21日

<Episode #326> 朱鞠内湖MAX

f0317993_16153781.jpg



風の存在そのものをつい忘れてしまいそうなぐらい穏やかな表情をした夕暮れの湖だった。
夕暮れの湖面は西からゆっくりと黄金色に近い黄昏色へと染まり始めていく。
静寂さと不思議な緊張感を伴った美しい時間の始まりでもあり、
朱鞠内湖でのMAXの釣りをえらんだアングラーだけが目にすることが出来る風景なのかもしれない。

早朝とイブニングは、いかにも5月の快晴の日らしく本当に風が穏やかだった。
その反面、日中ともなると気温の上昇と共に朱鞠内湖の杭となるアングラーはその湖面を吹きぬけていく強風に悩まされ、体力も消耗していくのだが・・・。


f0317993_1641248.jpg



f0317993_16414481.jpg



そんな迎えの船がやってくるまでもう少しというイブニングの朱鞠内湖は北大島。
ロッドの風切り音とラインの着水音のみが響く緊張感を伴った静寂さが不意にドボンという大きな水音と共に壊された。
それは僕がウェーディングした左にあるボサばの周りでまるで大人が湖にでも飛び込んだような大きな音だった。
きっと予想以上に大きなイトウなのだろう。
久しぶりに僕が耳にした朱鞠内湖のイトウの大きくて重量感と凄みのあるボイル音だった。


f0317993_16562030.jpg



f0317993_16591168.jpg



10カウントからの3ストローク目で不意にランニングラインをスローリトリーブする左手にグゥワーンを重量感のある負荷が掛かる。
グゥアン、グゥアンと幅広の大きな振幅のヘッドシェイクで手にしたロッドが大きくバウンドした。
エッ?という驚きと共に無意識の中で左手で合わせていたけれど、コンタクトは3秒で終わってしまった。
いつものように今回もアディオス。
でも久しぶりにドキッとさせてもらえたかな。

ふと耳を澄ますと背後の白樺林からさまざまな野鳥達の囀りが聞こえてきた。
朱鞠内湖で野鳥の囀りを耳にする度に、僕は野鳥についてもう少し詳しかったらと思うことがしばしばある。


f0317993_21204163.jpg



f0317993_17184737.jpg



昨年に続き今年も北大島でandieloopさんにホットサンドをご馳走になる。
サルサソースといい、いろいろと工夫の凝らされた何ともメキシカンなホットサンドで、
パンの表面がカリっと焼けた香ばしさも加わりとても美味しかった。
来年はキンキンに冷えたビールも是非持ち込んでみようかなと思っている次第。
青唐辛子の酢漬けもピッタリかもしれない。
きっとさらに楽しい釣行になるのではと思っている。


f0317993_17253839.jpg



Today's BGM :


[PR]

# by slowfishing-yun | 2017-05-21 17:28 | Fishing Reports | Comments(8)
2017年 05月 14日

<Episode #325> キャスト&リトリーブとエリーゼの幌

f0317993_14394344.jpg



茜色に染まり始めた朱鞠内湖の夕暮れ。
迎えの船の黒いシルエットが少しずつ大きくなりながらエンジン音と共に静かに近づいてくる。
日が傾くにつれ野鳥の囀りが賑やかに響いてき始めた背後の白樺林には、ゆっくりと漆黒の夜の闇が訪れようとしていた。
朱鞠内湖のイトウのまるで動く根掛かりのようなずっしりと重くてトルクのあるテイクには出合えなかったけれど、
心地良い疲労感と共に北大島で過ごした今日という一日が夜の闇と共に静かに閉じようとしていた。


f0317993_14554479.jpg



f0317993_14562192.jpg



久しぶりに助手席と小さなトランクルームにタックルやウエーダーを押し込み、深夜にエリーゼのハンドルを握ることにした。
イタリアの先端まで白樺林の中を歩こうかとも思ったけれど、やはりここは無理をせず4時出船の渡船を利用することにする。
北東の風が吹く予報の土曜日の朱鞠内湖だった。
ゆっくりとウェーディングした北大島のかけ上がりは、ちょうど風裏になるのか一日を通して穏やかな表情を変えなかったように思う。
リトリーブしながらふと遠くの景色に目をやると、太陽の位置と角度によって遠くの山々の頂に残された雪の白さが変わっていった。
北大島から見る朱鞠内湖の風景、僕はやっぱり朝が好きかな。


f0317993_15132866.jpg



f0317993_15141174.jpg



薄っすらとモスグリーンカラーに染まる朱鞠内湖の湖水の色が一面に広がる。
先週よりも1m以上は水位が上がり、僕が知っている満水域に至るまであと2m以上は水位が上がるのだろう。
北大島では岸際を泳ぐワカサギの姿を少しだけ見たけれど、本格的なワカサギの岸寄りはきっとこれからに違いない。
チェリーのものだろうか?それともイトウのものだろうか?
少し大きめのウロコが波間に浮かんでいたのでそっと手のひらで拾ってみる。
普段なら目にも留めないようなものかもしれないけれど、この日は不思議なぐらい綺麗なものに映った。
きっと5月の日差しを浴びてまるで宝石のようにキラキラと輝いていたからだろうか。


f0317993_15291017.jpg



f0317993_15292629.jpg



何回キャストしただろうか?そして何回リトリーブしただろうか?
まるでマラソンのような一日を通した長丁場の朱鞠内湖MAXだから、実のところ僕はあまり考えないようにしている。
キャストもリトリーブもそれほど嫌いなわけではないからね…笑。
残念ながら僕は期待していた朱鞠内湖のイトウとの出合いには恵まれなかったけれど、幸運にも2尾のアメマスが顔を出してくれた。

巻き溜めておいたほとんどのオリーブゾンカーをGWにロストしてしまったので、今回はオリーブではなく新たにライトオリーブで巻いてみた。
ライトオリーブは波間に浮かんでいたワカサギの背中の色にも似ていなくはないかな。

今回は湖で初めてFarlexのリールを使ってみる。
個性的なデザインだけでなく、心地よいサウンドも僕がとても気に入っているリールのひとつ。
静かな湖ではサウンドがちょっと大き過ぎるかもしれないけれど、ワイドスプールなのでなかなか使いやすかっただろうか。
Farlexのリールは、Paypalに登録すればこちらからも購入は可能。
僕は当時まだPaypalのアカウントを持っていなかったので、国際郵便為替で購入。
最近は国内にも代理店が出来たので直接購入よりもちょっとお高いけれど、こちらからも購入は可能。

朱鞠内湖からの帰り道は久しぶりにエリーゼの幌を外して走ったけれど、ヒーターは全開なもののさすがに寒くて途中で断念。
でも、寒さのおかげで釣りの後の睡魔と眠気はどこへやらだったかな。
頭上を流れていく星空はとにかく綺麗だったけれど…笑。

Rod : R.B.Meiser 14' 7/8 MKS "Autumn"
Reel : Farlex 3 3/4" S-handle
Line : Atlantic Salmon SH 9/10 S1/S2


f0317993_1685682.jpg



f0317993_1691024.jpg



Today's BGM :


[PR]

# by slowfishing-yun | 2017-05-14 16:05 | Fishing Reports | Comments(2)
2017年 05月 06日

<Episode #324> 小さなイトウと動く根掛かり

f0317993_21415678.jpg



風と波でサンドカラーに濁った岸際の湖水の中に、イトウのやけに黒くて大きな瞳が静かに浮かび上がっていた。
まだまだあどけなさが全身にちりばめられた小さなイトウ。
おそらく人で例えるなら小学生の高学年といったところだろうか。
いつの間にかランディングネットの中でバーブを潰したゾンカーのフックが顎から外れていたようだ。
ストラップで首から掛けておいたiPhoneで数枚だけ写真を撮り、イトウの姿が湖水の色の中にゆっくりと同化していくのを見届ける。


f0317993_21564288.jpg



f0317993_21565527.jpg



お気に入りのサウンドをBGMとして大音量で聴きながら深夜のR275をゆっくりと北上する。
屈斜路湖にするかとも迷ったけれど、今年もやっぱりGWの前半を朱鞠内湖で過ごすことにした。
ただいつもと違うのはカーゴルームにシュラフなど車中泊セットを積み込んでいることだろうか。

そんな道中のBGMはサウンドに奥行きと透明感のある美しいディープなミニマルテクノのLulu Rouge
サウンドはどちらかというとこれから僕が足を運ぼうとしている朱鞠内湖の風景ような北欧系だろうか。
そんな訳で僕がハンドルを握る車の中はちょっとした居心地の良いパーソナルスペースとなる次第。


f0317993_22154953.jpg



f0317993_2216664.jpg



f0317993_22162274.jpg



朱鞠内湖の早朝らしいしっとりとした静寂さに包まれながら、木立の間から響いてくる野鳥やカッコウの囀りを耳にする。
たっぷりと残された残雪とオフホワイトの白樺の木立の向こうに朱鞠内湖の鏡のような波ひとつない湖面が広がっていた。
朝は風の存在感をまったく感じないようなフィールドだけれど、気温が上がると風の存在感を否応無しに感じるようになるらしい。
キャストに苦労しそうな風速8m/sぐらいの風が吹く予報。
やがて強まりはじめる風の存在を、頭上の引きちぎられたような形をした雲がすでに暗示していたように感じる。


f0317993_22375584.jpg



f0317993_22381454.jpg



f0317993_22382859.jpg



まるで違う惑星のオブジェのような点在する大きくて朽ち果てた切り株の間を抜けてイタリア半島の先端を目指す。
毎年のように目にはする減水した朱鞠内湖らしい独特の光景ではあるのだけれど、やっぱり毎回どこか異質な雰囲気を感じてしまうだろうか。

さてさて釣りの方はというと、初日には僕がリトリーブするシンプルなオリーブのゾンカーに4度のバイトが訪れ、
まだあどけない表情をした小さなイトウが顔を出してくれた。
イブニング前にも少しサイズアップしたイトウが僕のフライを見つけてくれたけれど、残念ながらフックアウト。
2日目の午後には、久しぶりに動く根掛かりを感じることが出来たけれど、こちらも残念ながら途中でフックアウト。

それにしても水面下に沈んだ切り株への根掛かりが多くて、せっせと巻きためたフライを2日間で20個ぐらいはロストしただろうか。
次に出合うかもしれない動く根掛かりのために、また少しずつフライを巻いておかないとね。

そんな訳で、湖畔でsugiさんの淹れてくれたコーヒーとイブニングのsugiさんの叫びとが印象に残ったGWの朱鞠内湖だったかな。


f0317993_23162328.jpg



Today' BGM :


[PR]

# by slowfishing-yun | 2017-05-06 23:20 | Fishing Reports | Comments(6)