2017年 07月 31日

<Episode #337> 霧のち快晴


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本流の川面が深い碧色と傾きかけた夕日のオレンジとに染まり始めた土曜日のイブニング前の出来事だった。
僕がキャストしてスイングするフライに何の変化も起こらないことがすでに80m以上ステップダウンしても変わらず続いていただろうか。
川幅がギュッと狭まる対岸のテッシといういくつかの大きな岩盤が集まったエリアを過ぎると、今度は本流の川幅が少しだけ広くなって流速が若干だけれど遅くなった。
何の前触れもなくふと何気に下流へと視線を向けると、まるでタイミングでも見計ったかのように偶然にも25mほど下流の岸際近くでサーモンサイズのレインボーが重量感のある炸裂音と共にライズする。



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僕は若干ピッチの速まった呼吸を整え、下流で一度だけ姿を見せたレインボーとのおおよその距離をもう一度確認する。
流芯からゆっくりと岸に向かってスイングしてくる#4番のストリーマーフックに巻いたコーンヘッド仕様の黒のInteractionに少しだけアクションを加えていると、まるで僕の頭の中で描いたイメージ通りにグゥンと重量感のある負荷が掛かった。
最初は根掛ではないのかと一抹の不安もあったけれど、ロッドに掛かる負荷は徐々に躍動感を伴った力強いものへと変化していく。
僕が手にした"Solar eclipse"はバットの付け根からグンニャリと曲がり、これは久しぶりのトロフィーサイズとのランデブーと思った瞬間、フッとテンションがどこかへとスポイルされたかのようにフェードアウトし、残念なことにあのレインボーとはアディオスしてしまった。やっぱり束の間の短い盛夏のランデブーだったかな。



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理由は定かではないけれど、数日前からテレメーターの表示する本流の水温が18~20℃を推移していたこともあり、7月最後の週末を天塩川で過ごすことにした。
予想通り前回訪れた時(23℃前後)とは違って、そっと本流に手を差し入れてもそんなに生温いという感想は抱かなかったと思う。
7月末ということもあってか、僕が足を運んだポイントではほとんど他の釣り人に出会うことはなかった。
おかげで訪れる釣り人が少ないせいか、車を止めてポイントまでのアプローチには踏み跡もなくすっかりイダドリなどの草木が生い茂ってしまっていて、ルートを見つけるのにかなり苦労をしたかな。



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やっと天塩川の本流レインボーらしいMサイズに出合えたのは、正午を知らせるサイレンが鳴り終わったあとだった。
フィールドではスカジットコンパクトのフローティングと15フィートのT-14を組み合わせたラインシステムでほとんどを通した。
朝から5ヶ所目のポイントの瀬頭からステップダウンし始めて、流速が少し落ち着き始めた頃にやっとスイングするフライを何の前触れもなく抑え込むようにしてひったくってくれる。
天塩川では時々出合うことのある顎の下部をまるでペリカンやカエルのように膨らませた、そのサイズ以上のパワフルさを兼ね備えたレインボーだった。
レインボーをリリースするとフィールドには夏ゼミの鳴き声が響き、おそらく気のせいだけれど盛夏の暑さの中で少しだけ風が動いたような気がした。



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週末は2日間とも朝はフィールド全体に白いガス状の霧が掛かり、いつも目にするフィールドとはまた一味違った幻想的な雰囲気を楽しませてくれる。風の存在感は皆無だった。虫の音、川のせせらぎ、野鳥に囀りなどが静かにフィールド全体を覆う。逸る気持ちを抑えつつ、もしかしたら一番心地が良い時間なのかもしれない。
やがて霧が晴れると今度は一気に夏ゼミの鳴き声と共に青空が顔を出してくれた。
それは抜けるように青い夏の青空だったと思う。
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Today's BGM :




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by slowfishing-yun | 2017-07-31 23:13 | Fishing Reports | Comments(8)
Commented by abu-z4 at 2017-08-01 08:43
Yunさん、おはようございます。
先週末は、お疲れ様でした。
キャッチに至らなかったとはいえ、ドキドキするようなビッグサイズレインボーとの出会いは、読んでいる僕も興奮してしまいました。
ひと気が少ないのは高めの水温のせいなのか、それとも熊騒動のせいなのか・・・・・・
どちらにしてもいつも気になる北の本流ですね。
Commented by slowfishing-yun at 2017-08-01 21:52
ABUさん、こんばんは。
例年なら盛夏となると十勝川本流へと足を運んでいるところですが、今年は別の本流となりそうですね。
今回は水温が少し下がっていそうなので、天塩川へと足を運んでみました。7月末の本流のコンディションとしては、なかなか良かったかなと思います。
私としても昨シーズン以来大きなレインボーとはアディオスしてばかりなので、ぜひともその姿をしっかりと記憶に残しておきたかったのですが、やはり今回も束の間のランデブーで終わってしまいました。
でも久しぶりの北のフィールド、なかなか楽しかったです。
Commented by sawayakasawade at 2017-08-02 16:04
YUNさん
こんにちは。
本流釣行お疲れ様でした。
文章を読むと風景のイメージがはっきりと浮かび、僕も非常に天塩に行きたくなりました。
ライズの魚は残念でしたが、かけるだけでも凄いと思います。
僕はライズする魚によく無視されてますから(笑)
今年の天塩は厳しいですが、僕もタイミングを見て行こうと思います。
フィールドで会いましたらどうぞ宜しくお願い致します。
Commented by slowfishing-yun at 2017-08-02 19:58
サワヤカサワデーさん、こんばんは。
盛夏の本流でLサイズ×2とは流石ですね。
日曜日は珍しく早朝に目が覚めたのでまじめな釣り師を演じましたが、大きなレインボーは見透かされてしまったようです(笑)。
私も確信は持てませんが、おそらくライズした魚だったと思います。この時期にペアで移動することもあるんでしょうかね?
こちらこそ、また宜しくお願いします。
Commented by masa1st1956 at 2017-08-03 14:06
Yunさん、こんにちは。
マズメ前のLLサイズ惜しかったですね、中々取れないから通ってしまうのですが(笑)
それでもド日中にMサイズは流石です、T-14だと結構底を意識しての結果のようですが、水温を見ての選択かと思いますが?
ご一緒の時はよろしくお願いします。
Commented by slowfishing-yun at 2017-08-03 21:12
masaさん、こんばんは。
アディオスしたので何でも言えますが、あのレインボーはきっと3Lサイズだったと思っています(笑)。
フローティングボディにT‐14、さらにかなりウエイトの入ったフライでしたが、おそらくフライは深瀬だったので底まで届いていないと思いました。
ウグイの稚魚はたくさん泳いでいますが、虫っ気がなかなかないですね。
こちらこそ、次回はよろしくお願いいたします。
Commented by sawayakasawade at 2017-08-04 08:42
YUNさん
おはようございます。
ペアなのかは不明ですが、ピンポイントの場所からから同じ型の魚を釣った経験はありますし、バブル当時はL,LLサイズが3匹という事もありました。居心地の良い場所に溜まる傾向にあるような気がします。
話は変りますが、Nickさんが2人いたのは驚きました(笑)今回のロッドも素敵に仕上がってくるのでしょうね。Jock Scottは黄色と黒が目立ちますが、ウイングは沢山の色が使われてますのでどの部分の色を強調してくるか気になるところです。
今度タイミングが会いましたら釣りの方も宜しくお願い致します。
Commented by slowfishing-yun at 2017-08-04 20:48
サワヤカサワデーさん、こんばんは。
印象的に大きいレインボーはペアで移動していることが多いですよね。確かあれはもうバブルも終わりかけのことですが、初めて入った天塩川のポイントでLやLLサイズのレインボーが10尾以上も釣れたことがありました。そう思うと私が足を運ぶ前の本当のバブルの頃はどんな状況だったのかと思いますが、きっとあんなパラダイスのようなことはもうないのでしょうね・・・笑。
マイザーさんにはとてもシンプルにタイイングされたJock Scottの写真を送りました。ロッドが届きましたら、ここでも紹介してみようと思っています。
こちらこそ、今度フィールドでもよろしくお願いいたします。


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