2015年 07月 20日

<Episode #129> グラシアス / Teshio River

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左手で本流レインボーのボディをホールドしながらカメラを構えると、ホールドした左手にズシリとその重さが伝わってくる。
このアングルは僕にとって嫌いじゃないアングルのひとつ。
でも、先ほどまでのレインボーとのやり取りの余韻なのか、ホールドした左手がまだヒクヒクと痙攣していたと思う。
急いでシャッターを押そうとする僕の右手も、興奮がまだ冷めやらぬといった感じで、思ったように上手く押せなかったかもしれない。
カメラの小さなモニター越しにでも、赤く染まったレッドバンドと淡いブルーグリーンの背中の色とのコントラストがひときわ際立っていた。


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週末に足を運ぶフィールドに、やはり今回もたっぷりと悩んだ金曜日の夜だった。
あまり釣りのフィールドのことをよく分かっていない連れ合いに、「天塩川、それとも十勝川、どっちがいいと思う」と尋ねたりもするけれど、
たいてい連れ合いが答えてくれるのは前者の方だから、きっと僕もその辺りのことを分かった上で連れ合いに聞いているのだろう。

ゆっくりと東の空がオレンジ色に輝き始める。
事前におおよそ目星をつけていた支流の合流点には残念ながら先行者の車が1台。
2ヶ所目のヒゲナガ・ポイントで初めてロッドを振ったけれど、少し濁った本流でヒゲナガの姿は一度も見ることはなく、
ランの初めからかなりステップダウンして最初にフライを見つけてくれたのは、なかなかのサイズのウグイ君だった。
数年前のこの時期に出合ったLサイズ後半のレインボーのことを思い出し、少しヤブコキをして3ヶ所目のポイントに入る。
どうやら僕以外に踏み跡はなかったから、他のアングラーはあまり入らないポイントなのだろう。
河畔林を抜けると目の前にゆったりとした流れのオリーブ色に染まるプールが広がった。


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ロッドはMeiserの14フィート、#7/8番、MKS、the "Fire God"。
リールはSaracione Mark V 4"。
600grのスカジット・コンパクト(フローティング)の先には15フィート、#9番、タイプ6のティップ。
1.5mほどの3号のフロロカーボンのティペットの先には、ウエイトを少量さらに巻き込んだコーンヘッド仕様のチューブフライ。
このチューブフライ、"Fascination"(black&orange)は、数日前に数本だけフライボックスに巻き足しておいた。

僕自身としては、レインボーに本当にフライを見つけてもらえるのか、なかなか自信が持てない本流の濁度だった。
おそらくテレメーターが示す濁度の数字は10前後だっただろうか。
背後の河畔林の枝を気にしつつ、ゆったりとした流れのプールの始まりから、1キャストごとにステップダウンを繰り返す。
10mほど釣り下ったあたりだっただろうか。
ゆっくりと下流に膨らむスカジットコンパクトに引かれてスイングするフライに、フッと何かがまとわりつくような違和感を感じる。
流し終えて下流に伸びきったランニングラインを回収して、さらに次のキャスト。
ちょうどフライがプールの中間辺りにさしかかった時、小刻みなアクションを加えながらホールドしていたラインが、
何の前触れもなくいきなり物凄い力でひったくられた。
ロッドを通してそれが根掛かりではないことを僕ははっきりと確信する。
そして確信するや否や、ラインが一気に引き出されると、ドッバーンと下流の水面が大きく割れて、
オレンジ色のレッドバンドがくっきりと浮かび上がったLLサイズの本流レインボーが1m程大きく跳躍した。


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お気に入りの7/8番のマイザーMKSはバットの付け根からグンニャリと曲がり、
ロッドにセットしたサラシオーネからは、アングラーを魅了するような心地良いスクリーミングサウンドが奏でられていたのだろう。
でも、それはほとんど僕の耳には届かなかったかもしれない。何しろかなりエキサイティングしていたものだから。
今回だけはいつものアミーゴの仲間入りだけにはなりたくないと心底願う。
だからこれまでほとんどやったことはないのだけれど、2度ほどロッドをあおって追い合わせをした。
2度目の派手なジャンプで肝を冷やし、レインボーが大きくヘッドシェイクする度に僕はさらに肝を冷やす。
ラインがザ、ザーッと横に走ると、ロッドを握りしめながら、どうかバレないでーと何度呟いたことか・・・。

レインボーとのスリリングなやり取りの時間は結構長かったと思う。
差し出したホールディングネットに入るかどうか心配なサイズだったけれど、何とか2度のチャレンジで無事にネットイン。
その瞬間、安堵感と共にものすごい疲労感に包まれるのを感じたのは久しぶりだった。
おそるおそるメジャーをあてると、僕にとってはメモリアルとなる67cmのオスの本流レインボー。
コーンヘッド仕様のチューブフライは気がつかないうちにレインボーの顎から外れて、ネットの片隅に引っかかっていた。
グラシアスという感謝の言葉で、本流レインボーが深いプールに戻っていくのを見届けると、
今度は出合えたことへの嬉しさがジワジワと僕の中で大きくなり始めたのだった。

4ヶ所目のポイントでは、リンクさせてもらっているsawayakasawadeさんと初めて挨拶させていただき、
5ヶ所目の支流の合流する岩盤ポイントでは悪くないサイズの1バイトのみだった。


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河畔林から響く夏ゼミの鳴き声を聞きながらFさんと相談して、午後からは友人達のいる十勝川へ大移動することにした。
多寄の淳真というそば屋さんに初めて入ってもりそばを注文したけれど、これがなかなか美味しくって是非また足を運んでみようと思う。

雨降る中、BBQハウスでの夜の宴会はMoriさんがフライパンでのジンギスカンを用意してくれて、これがなかなか美味しかったし、
Fさんからの差し入れのシングルモルト・ボウモアも久しぶりに味わうスモーキーなテイストでメチャメチャ美味しかった。

日曜日は雨も止み、夏ゼミの声を聞きながら少し濁りの入った十勝川でキャストを楽しんだ。
時間と共にジワジワと暑さが押し寄せてきたけれど、雨上がりの心地良い夏のフィールドだっただろうか。
通称アミーゴポイントで対岸にキャストしたコーンヘッド仕様のストリーマーフックに巻いた黒のインタラクションが、
着水するや否やグゥンとひったくられた。
天塩川のグッドサイズも悪くはないけれど、サイズはともかく十勝川のスプリンターのような夏のレインボーも悪くはないと思う。
でも、フィールドの大移動だけは、これで最後にしたいなあと思っている僕がいたりもするんだよね。
                                                         68.01→67.88
                                                         59.96→59.92

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Today's BGM :






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by slowfishing-yun | 2015-07-20 18:45 | Fishing Reports | Comments(14)
Commented by mooly at 2015-07-20 19:29
Yunさん、こんばんは。
十勝で、無難に堅実に遊ぶか
天塩で、リスキーなメモリアルを追い求めるか
う~ん、なかなか難しい問題です。
この二択問題に答えはないとは思いますが、
自分が信じた選択にご褒美があったのならば
アングラーとしては最高の時間を過ごせますね。
それにしても素晴らしい。魚はもちろん素晴らしいですが、
この日のYunさんの行動パターンには、素晴らしいとしかいいようがありません。
メモリアル、おめでとうございます。
やっぱりYunさんには、天塩レインボーが似合います。
今度からは迷ったときは、奥様に最終決断していただくと良さそうですね。(笑)
Commented by slowfishing-yun at 2015-07-20 19:40
Moriさん、こんばんは。
今回もフライパンでのジンギスカンは美味しかったです。チキンもホルモン&ニラもgoodでしたね。是非定番メニューにして下さい。
きっと「十勝川、それとも天塩川?」と聞いたら、おそらく連れ合いは迷わず十勝川と答えてくれていたと思います(笑)。
それにしてもフィールドの大移動は今回を最後にしたいなと思いましたね。でも、その分たっぷりと楽しめましたが・・・笑。
十勝レインボーも好きですが、天塩レインボーにはまた違った魅力があるような気がします。
また宜しくお願いいたします。
Commented by yaskhoo at 2015-07-20 20:31
Yunさん、こんばんわ。やすこうです。昨日、一昨日はお会いできず残念でした。天塩にも行きたかったのですが・・・同僚の希望もあって、初めてのS川を試してみました。

それにしても、素晴らしいレインボーですね。(濁度は10近かったんですね。テレメータでは19日は6~10?)
67㎝とは・・・体高もある魚体で、やはり、Yunさんには、天塩のレインボーがお似合いだと思います。私もいつか、釣ってみたいものです。(天塩から十勝とは、随分な移動ですねw)

私は、S川ではバラシただけですが、それなりに楽しめました。S川って、すごく人が多いんですね・・・
是非、また8月半ばに、どこかにご一緒させていただけるとうれしいです。
よろしくお願いします。
Commented by kuni at 2015-07-20 21:01 x
これは素晴らしい!!
いや、素・晴・ら・し・過・ぎ・る!!!
夏の連続勤務で萎えかけていたけど、こんな逞しい宝石を見せていただいたおかげで、元気が沸いてきました。^^
良い写真を見せていただき、ありがとうございました。
Commented by slowfishing-yun at 2015-07-20 21:31
やすこうさん、こんばんは。
今回もお会いできず、残念でしたね。8月半ばには再会出来るのを楽しみにしております。
ショコツ川での釣りを楽しまれたようでなによりです。C&Rが定着した人気の河川ですから、きっと釣り人も多かったのでしょうね。
天塩川から十勝川への大移動、途中で昼食と仮眠も取ったので5時間はかかりました。
十勝川中流域でのイブニングも、何だかよく分からないうちに終わってしまったような気がします(笑)。
なかなか出合うのが厳しくなってきた天塩川のレインボーですが、今年の運をすべて使い切ってしまったような気分です。
Commented by slowfishing-yun at 2015-07-20 21:39
kuniさん、こんばんは。
以前は京都にも住んでいましたから、きっとそちらはムシ暑いのでしょうね。
お仕事がお忙しい中、コメントをいただき、ありがとうございます。
カッコイイ、オスの本流レインボーでした。
おそらくペアでいたかもしれないメスの本流レインボーも振り向いてくれないかなと思いましたが、そうは上手くはいかないものですね(笑)。
Commented by sawayakasawade at 2015-07-21 16:51 x
yunさん こんにちは
魚も凄いですが行動力も凄すぎます。
天塩から十勝までなら400キロ位でしょうか?
今度私も川の選択に迷ったら妻に聞いて見ようと思います。
まあガソリン代高いから近いところ行け!と言われそうですがw
Commented by abu-z4 at 2015-07-21 17:27
Yunさん、こんばんは。
サイズも驚きですが、見惚れるほどの綺麗な魚体ですね。
やり取りの最中の気持ち、よーく分かるような気がします。
サイズは大きく違いますが、僕の先週末の1匹も同じような気持ちでやり取りしていましたから。
おそらくこの雨で、今年の夏の天塩川は先週がラストチャンスだったのではないでしょうか。
Yunさんの判断と天塩川への情熱が実を結んだ、素晴らしい結果となりましたね。
おめでとうございます!!
Commented by slowfishing-yun at 2015-07-21 21:16
サワヤカサワデーさん、こんばんは。
若い頃は知床ピンクサーモン単独日帰り釣行というのもありましたが、さすがに今ではそんな行動力も体力もありません(笑)。
士別から高速に乗り上川へ、大雪ダムから三国峠を越えて糠平湖の横を通り、そして十勝というコースです。
お昼に出発して、昼食と仮眠をとり、イブニングにギリギリといたところでしょうか。
車の運転は嫌いではありませんが、さすがにこの大移動をひとりではと思ってしまいます(笑)。
ガソリン代に高速代、頭が悩ましいところです・・・笑。
Commented by slowfishing-yun at 2015-07-21 21:24
ABUさん、こんばんは。
迫力のある体高と背中のモスグリーンに近い淡い色合いがとても印象的なレインボーでした。
しばらくは写真を眺めながらニヤニヤしてしまいそうです(笑)。
先週の十勝川の岩盤ポイントでは素敵な出合いがあったようですね。今度是非案内してください。
確かに雨の影響が心配ですね。でも水温が下がったら、もしかしたら、また出合えるチャンスがあるかもしれません。
今回はあのテレメーターの濁度の中でも出合えたのが、ちょっと驚きでした。今後のプランに役立てそうです。
Commented by maximizer828 at 2015-07-21 21:27
Yunさん、こんばんは。
カッコイイ男前なメモリアルレインボー、おめでとうございます!
この素晴らしいレインボーはYunさんにとても似合いますね!
実はあの日の朝「60オーバーが釣れた」と電話をくれた時、思わず僕までエキサイトして嬉しくなっちゃってたんです(笑)
後から、僕には自分磨きが必要だなと考えさせられる良い刺激になりました。ありがとうございます。
キャストが安定すると、もっと楽しいのでしょうね。
また宜しくお願いいたします。
P.S. 大移動チャレンジは辛いですが、またするかもしれません。でも、まだ疲れが残ってます(笑)


Commented by slowfishing-yun at 2015-07-21 21:47
maximizer828さん、こんばんは。
週末は、お疲れ様でした。maximizer828さんは2週連続のフィールド大移動でしたね。本当にご苦労様です(笑)。
ありがとうございます。あの日の朝は、出合えたことにすっかり舞い上がってしまい、すぐに電話してしまいました(笑)。
確かにカッコイイレインボーでした。振り向いてくれたレインボーとスケールの大きなフィールドには、本当に感謝ですね。
maximizer828さんもずいぶんとキャストが安定されましたね。巻かれるフライもそうですが、とても初めて1年とは思えません。
きっと次は、maximizer828さんの番だと思いますよ。
また宜しくお願いいたします。
Commented by コム at 2015-07-22 13:44 x
凄いです! 素晴らしい完璧なハンサム君ですね。 
これぞ北海道、本流の魅力ですね。
これを見てしまうと本流へ行きたくなってしまいますね~
こういう魚が居るというのも素晴らしいですけど、釣られるYunさんもGreatです。

Commented by slowfishing-yun at 2015-07-22 18:14
コムさん、こんばんは。
きっとまだまだ凄い本流レインボーはいるのでしょうが、私には迫力満点でした。
もしも流れの速いポイントで出合っていたら、おそらくアディオス・サヨナラ、されていたかもしれません。
キャッチ出来たのには、タックル・ポイントなどなど、いくつかの幸運が重なっていたのでしょうね。
いつか私も70オーバーの3Lサイズをランディングしてみたいものです。きっと夢のまた夢でしょうが・・・笑。


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