2014年 05月 25日

<Episode #36> 春の朱鞠内湖MAXとラインバスケット

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道路脇から不意にいつ飛び出してくるか分からないエゾジカの群れ。
車が来ないことをいいことに、街路灯のない道路の上でのんびりと寝そべっているキタキツネ。
車のライトをハイビームにして、道路やその脇のキラリと光るものにピリピリと最大限の注意を払いつつ、
僕の車は朱鞠内湖に向けて深夜のR275をゆっくりと北上する。
多度志から朱鞠内まで、結局対向車とは一度もすれ違わなかっただろうか。
東の空が少しずつ白々と明るくなり始めると、ついつい朝4時の出船時間のことが気になってしまう。
早朝の朱鞠内湖、フィールドに吹く風はまだ穏やかだった。


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慌しい出発の準備で少し余裕がなかったのかもしれないけれど、R275を北上する車のハンドルを握りながら、
ふと何気なく少しモディファイした愛用のOrvis社製のラインバスケットを自宅のガレージに置き忘れてきたことを思い出した。
確か天気予報ではお昼前から風が強まったはず。
悔やんでも仕方がないけれど、シュート時にランニングラインのトラブルが増えるのは覚悟しないといけない。
本流ではバスケットは使わない派だけれど、湖などの止水のフィールドでは、僕はもっぱらバスケット派だろうか。
好みは分かれるだろうけれど、やはりバスケット使った方がシュート時にランニングラインが絡まるトラブルは少ないように思う。
それに水の抵抗も減って、僕のキャストでも飛距離は少しぐらいアップするから。
ちなみに、お昼寝の時のちょうど良い高さの枕にもなるラインバスケットだけれど、使用する際のデメリットもないわけではない。
僕にとってのラインバスケットを使うデメリットは、リトリーブしたランニングラインをバスケットの中に入れることを意識し過ぎて、
ストロークの長さ、それにリトリーブの速さと、メリハリが効いたリトリーブが出来なくなることだろうか。


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幸運なことに最初に訪れたイトウのバイトは、湖に船のエンジン音がまだしっかりと響いている時のことだった。
何しろ湖の向こう岸を葵島方面に向けてアングラーを乗せたボートが、少し遅れたエンジン音を響かせながら、
白く小さくゆっくりと動いていたものだから。
フライが着水後、数カウントほどしてからのリトリーブスタート。
確か2ストローク目に、ズゥンとランニングラインに鈍重な衝撃が訪れて、水面が大きく盛り上がった。


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右利きのアングラーがキャストするには好都合の左方向からの南東寄りの穏やかな風が吹き、
早朝の湖面には潮目と小波の帯が、ずっと遠くの方まで続いていた。
そんな早朝の静寂さの中、ゴボォウ、ガボォウとイトウの荒々しい豪快なヘッドシェイクが岸際で何度も繰り返される。
バーブを潰したフックがいつ外れるんだろうかと僕はヒヤヒヤしたけれど、何とか無事にランディング。
この日僕が出合った最初のイトウはメタリックに輝く80クラスのトルクフルで豪快なパワーの持ち主だった。


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ロッドはMeiserの14フィート、7/8番、MKS。
リールは濡れると自動的(笑)にサイレント仕様になってしまうS字ハンドルをモディファイしたHardy Cascapedia MkⅡ 8/9。
ラインは3M社のAtlantic Salmon SH、9/10(590gr)、S1/S2。
このスカンジ系のSHを使ったフルシンクのラインシステムでスカジットキャストをするのだけれど、
個人的にはもう一番手重い10/11(650gr)のSHでもいいんじゃないかと思っている。
ランニングラインはタックルマックのリッジランニングライン、20lb。
リーダーは1X、12フィートのテーパーリーダー、ティペットは2.5号のフロロカーボン。


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昼前から風が徐々に強まり始め、北大島の岸辺に杭のようになって佇むアングラーは、風の存在を徐々に意識するようになる。
風向きは左前方から徐々に正面へとシフトしていき、ますますその存在感が打ち寄せる波と共に強まっていった。
風を避けるようにして2度ほど僕は湖岸で深い眠りに落ちた。
イトウの夢を見ることはなかったけれど、幸運にもお昼までに2尾のイトウに出合うことが出来た。


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ティペットの先に結んだフライは、2番と4番のストリーマーフックに巻いたシンプルなオリーブゾンカー
レギュレーションにもあるけれど、ティペットに結んだ後にフォーセップでバーブを潰す。
バーブレスにしてフックアウトすることが増えるかなと心配したたけれど、アメマスやサクラマスではやり取りの最中に外れたりして、
イトウではランディング後にいつの間にかフライが外れていたことはあったけれど、意外とフックアウトは少ないのかもしれない。

打ち寄せる波のせいか、岸際にワカサギの小さな群れを見たけれど、産卵の為の岸寄りが本格化するのはもう少し先だろうか。
早朝とイブニングはS1/S2のスカンジSHを使い、日中はS2/S3のスカンジSHを使ったけれど、
カウントダウンの時間を長く取ると、S2/S3の方はかけ上がりを通過するあたりでやはり根掛かりしやすくなるようだ。


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MAXという言葉を初めて聞いたのは、5,6年前、確か漁協の中野さんの口からだっただろうか。
かれこれ20年近く朱鞠内湖を訪れていて、さらにここ数年は渡船サービスを利用出来るようになっただけでなく、
前浜からの早朝の出船は日の出前の4時、最終の迎えは夕方の7時近くという文字通りのMAX(マックス)、
つまり朱鞠内湖での釣りが許される最大限の時間、思う存分たっぷりと楽しめるようになり、漁協の方々には本当に感謝だろうか。
もちろん、一日中曇り空で午後には雨交じり、風はますます強まる予報だったけれど、この日も何の迷いもなくMAXでお願いする。
多分に幸運なことだと思うのだけれど、迎えの船が来るまでに僕は朝から数えて計4尾のイトウに出合うことが出来た。
これまでも一日に計2尾のイトウに出合うことはあったけれど、こんなことは長年朱鞠内湖に通っていて初めてのことだろうか。
以前なら1シーズンを通しておかっぱりで1回イトウに出合えたらとてもラッキーなことだったからね。
さまざまな啓蒙活動やイトウの保護活動などなど、きっと漁協の方々の地道な努力があったからだと思うのだけれども、
着実にイトウの数は増えていっているように僕は実感したし、きっとバーブレス化も、そんなことに一役買っていくのだろう。

結局、ラインバスケットがなかったのでシュート時にランニングラインがグシャグシャの難解なパズルになることもあったけれど、
ランニングラインのハンドリングさえしっかりすれば、意外と何とかなるのかもしれない。
でも、確かに大事なものをついうっかり忘れてしまいがちの僕だけれど、次回はラインバスケットを忘れないようにしようと思う。
そんな事を、モスグリーン色の湖水へと溶け込んでいく4尾目のイトウの背中を見送りながら、僕は思ったのだった。

P.S. 次回もしもMAXにチャレンジすることがあれば、折りたたみイスか、お昼寝用のロールマットでも持参してみようかなと。


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Today's BGM :




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by slowfishing-yun | 2014-05-25 17:46 | Fishing Reports | Comments(6)
Commented by sugi-51 at 2014-05-27 00:41
yunさん、こんばんは。
土曜日は、お疲れ様でした。あの後2回の仮眠を取り1時半位の帰宅となりました。年々MAXは体に厳しくなって来ている様です。
土曜日は4本は感動的でした、キャリアのある人は条件が整えばあんなに釣ってしまうんですね。
自分の釣果ではないけれど心に残る春の朱鞠内湖になりました。
たまご一緒出来る事を楽しみにしています。
Commented by slowfishing-yun at 2014-05-27 20:00
sugiさん、こんばんは。
こちらこそ、土曜日はお疲れ様でした。さすがに私もMAXの次の日は、体がボロボロだったりします。何しろ徹夜でフィールドに足を運んでいましたから・・・笑。
期待の高まる時期ではありましたが、自分でも今回はちょっと驚きです。もしかしたら、かなり釣り運を使ってしまったかもしれません。今シーズンの本流レインボーのために少しは残しておきたかったのですが・・・笑。
朱鞠内それに北の本流と、またフィールドでご一緒出来るのを楽しみにしております。
Commented by がーらはんたー at 2014-06-02 00:28 x
昨日朱鞠内湖にいってきました!
Yunさんのお知り合いの方にお会いして4匹釣った偉業をお聞きしましたよ。そのかたは三週間来られてまだ釣れないとおっしゃっていました。
わたしも残念ながらイトウさまのお顔を拝顔することなく強風に負けて敗走です。
まだまだ勉強が足りません。次回に向けて頑張ります。
Commented by slowfishing-yun at 2014-06-02 20:05
がーらはんたーさん、こんばんは。
コメントの内容からすると、土曜日はsugiさんにお会いになられたようですね。
とても風が強くて、おまけに雨に雷だったようですから、タフなフィールドコンディションの中、本当にお疲れ様でした。
先週末はたまたまタイミングが良かっただけです。いつもいつもこうは上手くはいきませんから・・・笑。
Commented by がーらはんたー at 2014-06-03 12:35 x
あとから気がつきましたが、sugiさんと知っていればもっとお話したかったのですが。。sugiさんのブログもいつも見ております。
Sugiさんは時々支笏湖行かれているようなので、いつかまたお会いできそうです。
Yunさんともいつかどこかで!
Commented by slowfishing-yun at 2014-06-03 21:03
がーらはんたーさん、こんばんは。
そうですね。いつかどこかのフィールドでお会い出来るといいですね。
その際は宜しくお願いいたします。


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