2014年 05月 11日

<Episode #32> 朱鞠内湖の春のイトウ・・・取水崎からイタリア半島へ

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フライが着水した後の数回目のリトリーブで、20lbの黄色いランニングラインをつまんだ僕の指先が何かの衝撃で不意にグゥンと止まる。
これで朝から数えて6回目の根掛かりだし、その度に#4番フックに巻いたフライ(オリーブのゾンカー)はロストしていたから、
僕のプラスチック製のフライボックスの中も、来週にはフライをまた巻き足さないといけないなぁ、と思うぐらいすき間が空き始めていた。
でも、予想に反してグゥアン、グゥアンとロッド全体に伝わり始めたバイブレーションというか振幅の大きなヘッドシェイク。
どうやら今回は6回目の根掛かりではなく、朱鞠内湖の水面下に沈んだ動く切り株のようだった。
膝上までウェーディングした僕は少し後ろへと下がりつつ、慌てて余ったランニングラインをロッドにセットしたセントジョンに巻き込む。


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薄っぺらいドライバーズシートの背中から伝わってくる3000回転近くで回り続けるエリーゼのエンジンの振動も、
深夜のハイウェイを北上する僕の眠気覚ましとしてはあまり効果が期待出来なかったようだ。
ふと襲ってくる眠気を我慢しながら、遊漁券を買いに前浜にある漁協に辿り着いた時には、ガスが掛かった空はぼんやりと明るくなって、
ちょうど前浜からたくさんのアングラーを乗せた渡船が穏やかな湖面に向けて出船しようとしている時だった。風はそよとも吹いていない。


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波ひとつ無い穏やかな湖面が広がる早朝の取水崎では、なぜか湖から生命感というものが何ひとつ感じられなかった。
ルアーの着水音やフライロッドの風切り音が、野鳥のさえずりに混じりつつ湖を覆うようにスッポリと被ったガスの向こうから響いてくる。
この距離感のない感覚というのは徹夜明けの僕にとってはかなり厄介で、釣りになかなか集中出来ず、
ついには目眩にも似た強い眠気を感じ、ロッドを置いて気絶でもしたかのように湖岸で眠りに落ちてしまった。
どれくらいの時間、僕は意識を失ったかのように眠ったのだろうか。そんな僕を眠りから覚ましてくれたのは、漁協の中野さんで、
すっかり「ここはどこ?」、「どうしてここにいるの?」とまったく状況を呑み込めていない僕がいたりする。
おそらく僕はまだ意識が朦朧としていて会話はしどろもどろで支離滅裂だったと思うけれど、
そんな僕にも中野さんは会話の最後に、Yunさん、イタリヤ半島がお勧めですよとアドバイスしてくれた。
それに湖面が風でざわつくと、さらに状況が良くなるかもという話まで。


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春の日差しと野鳥のさえずりを聞きながら、取水崎からイタリヤ半島までお気に入りのスペイロッドをかついて歩いてみた。
通称イタリヤ半島というポイントに足を運ぶのは、かれこれ20年以上朱鞠内湖に通っていて3回目になる。
白樺林のオフホワイトの白い幹が春の日差しを浴びてよりいっそうその白さに磨きをかけていた。
おそらく睡眠不足のアングラーの指先への不意の鈍重な衝撃の訪れは、時計の針にして10時半頃だっただろうか。
スピード感は無いけれど、底へ底へと潜るようなとにかく予想以上にトルクフルなやり取りだった。
僕としてはティペットがいつ倒木への根ずれでプツンとラインブレイクしてしまうのではとヒヤヒヤしっぱなしだったけれど・・・。
もしかしたらこの日のお相手のイトウの姿が湖面に浮上し、その全身が現れるまで、やり取りにはかなりの時間のを要したのかもしれない。
バットがミシミシと音を立てるの聞きながら、冷静に6/7番のロッドでのやり取りとしてはちょっと限界だったかなと思う僕がいたりもする。
ちなみにラインはアトランティックサーモンSH、S1/S2。もしかしたら、表層なのでフルインターのSHでもよかったかな。
ずんぐりとした丸太のようなボディ。90には少し足りなかったけれど、僕にとっては朱鞠内湖で出合うメモリアルなサイズのイトウだった。
今思うと今回の出合いは、中野さんの予想通り、湖の上を春のそよ風が吹き、湖面が少しざわついた時の出合いだったかなと思う。
ちなみに僕がワカサギの姿を見たのは、岸際に残った氷の下に泳ぐのを一度きりだけだったかな。
そのあとも本物の根掛かりでさらにフライを2本ほどロストし、面倒なタイイングがよりいっそう現実味を帯び始めたのだった。


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Today's BGM :








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by slowfishing-yun | 2014-05-11 10:59 | Fishing Reports | Comments(8)
Commented by やすこう at 2014-05-11 11:49 x
Yunさん、こんにちわ
朱鞠内湖の美しいフィールドを思い出しました。また、反応のない鏡のような湖面に何度もキャストを繰り返す様子も思い出されます。湖畔の昼寝も・・・・
でも、かなり大型のイトウをキャッチしたんですね。さすがYunさんです。
深夜の運転はお気をつけて!!
6月にお会いできるのを楽しみにしています。
Commented by slowfishing-yun at 2014-05-11 14:17
やすこうさん、こんにちは。
6月にお会い出来るのを楽しみにしております。きっとフィールドの選択には迷うことになりそうですね(笑)。
今年は例年よりも湖の雪解けが1週間ほど早いかもしれません。
もしかしたら雪代が収まるのも少し早まるかもしれませんね。
暖かかったせいもありますが、それにしても本当に眠かったです。
ランニングラインをリトリーブしながら意識を失ってしまいそうでした(笑)。
春のフィールドは、やっぱり気持ちがいいですね。
Commented by andieloop at 2014-05-11 16:49
Yunさん、こんにちは!
おめでとうございます。本当に見事なイトウですね。体格といい大きな顔といい、実に羨ましい限りです。
Yunさんは今回20ldのリッジランニングラインをご使用されているものと思いますが、この20ldというのは、強度的に不安はないのでしょうか?実は私もリッジランニングラインを試してみたいと思っておりまして、30ldと20ldどちらにしようか迷っております。特に強度的に問題を感じたことはないのであれば20ldのほうが飛距離の観点から良いかなと思っております。
なお、私はスカンジ系のヘッドは所有しておらず、もっぱらスカジットコンパクト480~510グレインです。
Commented by sugi at 2014-05-11 18:42 x
yunさん、こんばんは。
春の朱鞠内お疲れ様でした。しかもメモリアルサイズだなんて、何時もながら感心させられます。#6/7では相当厳しかったのでしょうし、ロッドが気になっちゃいますね。
9日の金曜日は飲み会の予定が前々から入っていて、朱鞠内湖の状況を確認して泣く泣くの出席でした。
Commented by slowfishing-yun at 2014-05-11 19:32
andieloopさん、こんばんは。
サイズはともかく、出合えただけでもこの日はラッキーでした。
何しろ早朝から昼過ぎまでキャスト&リトリーブを続けて、バイトは1回のみ。そのバイトの主がこのイトウさんですからね。
私の使っているリッジランニングランはタックルマックさんから購入した物で、エアフロのリッジランニングラインと同じかどうかは分かりません。
黄色の20lbとオレンジ色の30lbの両方を使っていますが、スカンジ系のSHでは20lb、ラインが太いスカジット系のSHでは30lbを使っています。
この手のラインには共通していえますが、根掛かりした時などランニングラインの1ヶ所を持って強く引っ張ると、
ランニングラインのコアとコーティング部分が遊離してしまい、ブヨブヨになって使い物にならなくなることがあります。
20lbの方でも私は一度も強度的に不安は感じたことがありませんが、なかなか長持ちしなかったりと・・・笑。
Commented by slowfishing-yun at 2014-05-11 19:40
sugiさん、こんばんは。
今回はドライブがてらののんびりモードだったので渡船はしませんでした。
中野さんから昨日良いサイズが出たようですからとお話をうかがったので、ポイントまで30~40分程歩いてみました。
もう少し移動するなど足で稼げば、もしかしたら出合えるチャンスが広がったかなとも思いますが・・・。
それにしてもかなりの重量感にトルクフルなパワーでした。久しぶりにロッドのバット部分からピキピキ、ミシミシと嫌な音を聞いたような気がします(笑)。
また今年も朱鞠内湖でsugiさんにお会い出来るのを楽しみにしております。
Commented by andieloop at 2014-05-11 19:52
Yunさん、ご丁寧にありがとうございます。
そうですか、そのようなデメリットもあるんですね。更に色々、考えてみます。お尋ねして良かったです。いつもありがとうございます。
Commented by slowfishing-yun at 2014-05-11 20:07
andieloopさん、いえいえどういたしまして。
なかなかパーフェクトなランニングラインって見つからないものですよね。それぞれに一長一短があるように思います。
タックルマックさんのリッジランニングラインは、コストパフォーマンスが良いので使い続けています。
私の場合、モノフィラ系は結局使わなくなってしまいました。飛距離には魅力を感じるのですが・・・笑。
この手のコーティングされたランニングラインの欠点をお話しましたが、根掛かりした時にランニングラインの1ヶ所だけを持たずに、腕にグルグルと巻きつけて引っ張ると、
ランニングラインにかかる力が分散されて以前よりトラブルの発生が少なくなったような気がします。ご参考までに。


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